進化するHIV治療の現状と日本のHIV感染状況。日本でのHIV新規感染者は年1000人にも上ります。
HIVの母子感染は回避可能
1981年に最初の感染者が発見されてから32年経ちますが
HIVは既に全世界に広がり、国連合同エイズ計画のデータ
によると、2010年末の時点で世界のHIV感染者数は
約3400万人にも上ります。
HIVの蔓延を防ぐ上で重要なことが、
母子感染を予防することです。
HIVは血液や体液を介して感染するため、
母子感染が起こりやすく、
HIVに感染している母親から生まれた子供は、
HIVに感染していることが多いのです。
しかし、現在ではHIVの研究が進み、
母子感染を回避するための医療技術も
確立されるようになりました。
2013年6月には、アメリカの支援プログラムによって
HIVの母子感染を回避できた100万人目の子供が
生まれるそうです。
この医療技術の発達によって、
HIV感染者の減少が期待されています。
進むHIV治療
「HIVに感染=死」というイメージを持つ人は
多いのではないでしょうか?
確かに、HIVに感染し、そのまま治療をしなければ
免疫力がどんどん低下して、エイズを発症し、
死に至ります。
でも、今はHIVの治療研究がどんどん進んでいて、
HIV感染の初期段階で治療を始めれば、
一生エイズを発症せずに済むという段階まできています。
もちろん、一生服薬を続けていく必要はありますが、
「HIVに感染=死」ではなくなっているのです。
また、2013年3月にはアメリカのジョンズ・ホプキンス大学の
小児センターの研究チームは、HIVに感染している新生児に
抗ウイルス薬の治療をしたところ、
1歳6ヶ月の時点で、ウイルスは体内から検出されず、
治癒に成功したと報告しています。
HIVやエイズの専門家からは、
「まだ不明な点が多く、過剰な期待は禁物だ」
との声も上がっていますが、
HIV治療の大きな大きな一歩であることは間違いありません。
日本でのHIV感染の現状
世界中に蔓延しているHIVですが、
予防対策が明らかになってからは、
新規患者数は徐々に減少してきています。
しかし、日本でのHIV感染の状況は、
世界的に見ても遅れを取っていて、
2012年の年間HIVの新規感染者は1002件で、
2007年からずっと1000件を超えている状態です。
先進国の中で、HIVの新規感染者の減少が見られないのは
日本だけとも言われています。
HIV感染の原因の8割以上は、性行為による感染です。
性行為をしても、正しくコンドームを使えば、
HIV感染は防ぐことができます。
日本でHIV感染者が減少しないのは、
不特定多数の人と性行為をする人が多く、
しかもコンドームを正しく使っていないためと考えられます。
HIV治療がどんどん進化していく中で、
HIV予防が徹底できていない日本は、
HIVに関して後進国と言えるでしょう。
自分の健康を守るためにも、パートナーの健康を
守るためにもHIV予防の正しい知識を身につけ、
実践していきましょう。