結核は過去の病気ではない!知らないうちにあなたも感染しているかもしれません。
結核は過去の病気ではありません!
結核というと、江戸時代から戦前にかけて流行した病気で、
現代では感染する危険が少ないという認識を
持っている人も多いと思いますが、それは大きな間違いです。
確かに、戦前と比べると、感染する危険は少なくなり、
治療法も確立されていますので、
不治の病ではなくなっていますが、
現代でも感染・発症する危険はまだまだあります。
10月19日には、東京都八王子市の中学校に勤務する
男性教諭が肺結核を発病しながら、
2ヶ月間授業を続けたことで、
教諭6人と生徒9人が結核に感染したことが、
八王子市の教育委員会の調査でわかりました。
教育委員会によると、結核を発病したのは40代の男性教諭で、
5月に咳が続いたため医療機関を受診しましたが、
その時は結核と診断されず、
そのまま教壇に立っていたとのことです。
また10月15日には、静岡県伊東市の診療所で、
50代の男性医師が肺結核と診断されたため、
医師の症状が出た8月以降に
発症した医師の診察を受けた人約400人を対象に
健康診断を実施することになっています。
このように、結核は感染力が強いため、
集団感染を起こしやすく、
現代でもまだまだ感染する危険は高く、
日常生活の中で知らない間に感染していたという
ケースもあるんです。
感染と発病は違うの?
結核だけでなく感染症のニュースなどでは、
「感染」と「発病」という言葉が出てきますよね。
この「感染」と「発病」は、何が違うのでしょう?
そもそも結核の感染経路は、空気感染と飛沫感染です。
結核菌は非常に小さいため、
患者から咳や痰などと共に排菌された後も、
空気中を長時間浮遊しているため、
感染しやすいという特徴があります。
結核菌を吸い込んだからといって、
必ずしも感染・発病するわけではありません。
人間の身体には免疫機能が備わっているため、
異物が進入したら、
速やかに排除されるようになっています。
しかし、免疫力が弱まっていたり、
基礎体力が落ちている場合は、
免疫機能がうまく働かず、結核に感染することになります。
ただ、結核に感染したとしても、
発病する人は5~10%程度です。
多くの場合は、感染後も免疫機能によって
体内の結核菌の活動が封じ込められ、
一生発病しないままとなります。
発病せず感染しているだけの場合は、
他人に結核をうつす心配はありません。
発病とは、体内で結核菌が活動し増殖して、
咳や痰などの症状が出る状態のことです。
発病すると、すぐに治療する必要がありますし、
排菌していることが多く、
他人に感染させる可能性があります。
結核かも?と思ったら
結核には、結核性髄膜炎や結核性心膜炎などもありますが
ほとんどが肺結核になります。
肺結核の初期症状は、2週間以上続く咳や痰、
微熱、倦怠感です。
単なる風邪と勘違いしやすいのですが、
咳や痰が2週間以上続く場合は
結核を疑う必要がありますので、
すぐに医療機関を受診するようにしましょう。
結核の検査方法は、「感染疑い」の場合は、
ツベルクリンの皮内注射による検査や血液検査があり、
「発病疑い」の場合は胸部レントゲン検査や
喀痰検査があります。
昔は結核というと
不治の病で死のイメージが強いものでしたが、
現在はきちんと服薬すれば完治可能になっています。
排菌している間は、入院治療が必要ですが、
服薬により排菌しなくなれば、通院治療が可能になります。
現代における結核は、
死に直結しないため「昔の病気」と言えますが、
感染・発病の危険はまだまだ大きいため、
「現代でも危険が大きい病気」とも言えるでしょう。