致死率は約60%!エボラ出血熱の流行拡大中。日本への上陸の可能性は?
エボラ出血熱の流行止まらず
2014年2月上旬にギニアで発生したエボラ出血熱ですが、
4月下旬になっても、その流行は止まらずに、
拡大傾向にあります。
4月22日の世界保健機関(WHO)の発表によると、
ギニアでは208人が感染、うち136人が死亡、
隣国のリベリアでは34人が感染、
うち6人が死亡していて、合計で感染者は242人、
死者は142人にも及んでいます。
現在のところ、致死率は約60%となっています。
エボラ出血熱は、
1976年にアフリカのスーダンで初めて報告された感染症で
その後もスーダンやザイール、コンゴ、ウガンダなどの
アフリカ諸国で度々流行してきましたが、
今までは感染力が強いにもかかわらず、
その毒性(致死率)の高さから
比較的短期間の間に流行が終息していました。
しかし、今回のギニアとリベリアでの
エボラ出血熱の流行は最初の報告例から
2ヶ月以上経った現在も終息していません。
国境なき医師団(MSF)は、
過去の流行が狭い地域に限られていたのに対し、
今回は前例のない規模で拡大しているとの
危機感を示しています。
猿では治療成功例あり
エボラ出血熱は、
有効なワクチンや治療法が確立されておらず、
現在は対症療法のみになります。
そのため、一命を取り留めるかどうかは、
その患者さんの体力や抵抗力、
免疫力によるところが大きくなっています。
しかし、エボラ出血熱の治療法の研究は
少しずつ進んでいます。
2010年にはアメリカの陸軍感染症医学研究所は、
2種類の薬剤を用いて、
エボラウイルスに感染した猿のうち
60%の治療に成功しています。
また、霊長類にエボラウイルスに接触してから
1時間以内に多剤併用療法を行ったところ、
発症を100%抑えることに成功した
との論文も発表されています。
この研究によると、エボラウイルスに接触してから、
いかに早く治療を始めるかが大きなポイントで、
発症抑制率は1時間以内で100%、48時間後で約60%、
120時間後だと約40%という結果が出ています。
現在は、人間以外の霊長類での研究しか
行われていませんが、
今後人間にも応用可能になるかもしれません。
日本への上陸の可能性は?
現在流行しているエボラ出血熱は、
ギニアとリベリアでのみ確認されている状況ですが、
今後日本への上陸の可能性はあるのでしょうか?
検査の結果、陰性となっていますが、
ギニアに隣接するマリやシエラレオネでも
似たような症状の患者が報告されていますし、
カナダでもアフリカから帰国した人が
似たような症状を発症したという例もあります。
現在、リベリアなどギニアと隣接する
複数の国が国境を閉鎖したり、閉鎖を検討していますが、
アフリカ諸国は日本のように島国ではなく
陸続きの場所ですので、国境を閉鎖しても、
エボラウイルスに感染した人や動物が
森などを抜けて隣接する国に入国するのは簡単です。
また、現在は商用や観光などで
海外渡航が日常になっています。
1989年にはアメリカのワシントン郊外で
フィリピンからの輸入猿がエボラウイルスに
感染していたとの報告もありますので、
いつ日本にエボラ出血熱が上陸してもおかしくはない
と言えるでしょう。
今現在できる予防法としては、
ギニアやリベリアに不急不要な渡航は避けることと、
エボラ出血熱に関する正しい知識を身につけ、
最新の情報を入手することです。
現時点で不必要に恐れる必要はありませんが、
報道などには常に注意するようにしたいですね。