現代でも年間2000人が感染!ペストは過去の病気ではありません!
中国でペストによる死亡者が!
中国の甘粛省玉門市でペストによる死亡者が出ました。
ペストを発症した男性は、
7月13日の朝に屋外で死んだタルバガンを見つけました。
タルバガンとは、
げっ歯類でプレーリードッグと同列の動物です。
この男性は、死んだタルバガンを解体して
飼い犬に食べさせたとのことです。
男性は13日の夜に症状が出て15日には重症化し、
病院を受診し治療を受けましたが、
16日早朝に死亡しました。
採取した検体を検査したところ、
7月17日になって死亡した男性が
ペストに感染していたことがわかりました。
中国の現地当局は、
男性と密な接触があった151人を隔離して、
ペストの予防薬を与えながら医学的観察を始めていますが
今のところペストを発症している人は
いないとのことです。
また、ペストを封じ込めるために
玉門市旧市街やその周辺の村を
封鎖する措置を行っています。
ペストは過去の病気ではありません!
ペストというと、
中世ヨーロッパで黒死病として恐れられ、
14世紀にはヨーロッパで大流行して、
当時の人口の3割がペストにより
死亡したと言われています。
日本では感染症法の1類感染症に指定されていますが
1926年以来発生がありませんので、
日本においては「ペストは過去の病気」
という認識が広がっています。
しかし、世界的に見ると、
ペストは決して過去の病気ではないんです。
実際に現在でも、アフリカやアジア、
アメリカなどで年間2000人の感染者が報告され、
約1割が死亡しています。
ペストは元々ネズミなどの
げっ歯類に流行しやすい病気で、
ペストに感染したげっ歯類に付着したノミが媒介し、
そのノミにかまれることで、人に感染します。
また、感染者の咳から
ペスト菌を吸い込むことでも感染します。
ペストの症状と治療法
ペストの潜伏期間は2~5日間ですが、ペストの症状は
リンパ節が腫れてから敗血症を起こす腺ペスト、
局所症状がないまま敗血症を起こす敗血症型ペスト、
肺にペスト菌が感染する肺ペストの
3種類に分けられます。
ペストは放置すると100%死に至る恐ろしい病気ですが
医学が発達した現代では、
早期に適切な治療がなされれば、
死亡率は20%未満にまで下がります。
ペストへの治療は、
ストレプトマイシンやテトラサイクリン、
ニューキノロン系薬剤などの抗生物質を投与します。
発症後8~24時間以内に抗生物質を投与すれば、
予後は良好です。
ペストを予防するワクチンはありませんので、
ペストの予防はアジア、アメリカ、アフリカの
ペストに感染する可能性がある地域では、
ネズミなどのげっ歯類が生息する地域には
立ち入らないようにするしかありません。
日本では約90年間ペストの発生はありませんが、
海外で感染し、
日本で発症するケースは十分に考えられますので、
ペストは過去の病気ではなく、
現代でも感染するリスクがある病気であることを
しっかり覚えておきましょう。