脳にできた良性の腫瘍のしわざで、妊娠がしにくくなる病気があります
我慢強い女性こそが気付きにくい病気
生理が不順、生理時の体調不良が著しいといった、
生理に関する悩みを抱えたまま、
日常生活を送っている女性は少なくありません。
寝込んだり倒れたりするほどでなければ、
仕事や家事を休むのは、
サボっているようで気がひけてしまうのですね。
生理不順も、ちょっとしたストレスや環境の変化で
しばらく続くことがあり、
なかなか婦人科の受診には至らないものです。
しかし、これらの症状は、
あるホルモンの過剰分泌によって起きている場合もあり、
しかもそれが不妊の原因になっているかもしれないのです。
血液検査で発見される脳の腫瘍
生理の異常が続いた時や、
不妊治療の一環として血液検査を受けた結果、
「プロラクチン」というホルモン値が
異常に高くなっていることがあります。
プロラクチンとは、脳の下垂体から分泌されるホルモンで、
母乳の生成に関わります。
出産後、授乳をしているお母さんはこのホルモン値が高まり、
排卵が抑制されています。
このプロラクチンの血中濃度が、
もし妊娠・出産をしていないのに上昇すれば、
不妊にも結びつく排卵障害や無月経を引き起こします。
原因はいくつかあり、
胃潰瘍やうつ病などの治療で使用する薬剤が
そのような症状を起こしている可能性もありますが、
脳に「プロラクチノーマ」と呼ばれる腫瘍が
できているケースが多くみられます。
20~30代の女性に多く、
性質としては悪性であることはごく稀です。
月経障害の他にこんな症状が
プロラクチンはもともと乳腺の発育に関わるホルモンなので
出産していないのにお乳が張って
母乳が出てしまうことがあります。
また、良性の腫瘍ではありますが、
大きくなってしまったり、
できる場所によっては視神経を圧迫し、
視力の低下や視野狭窄などの症状を招くことがあります。
女性の8分の1程度の発症率ですが、
男性にもこの腫瘍ができることがあり、
睾丸で精子を作る機能を衰えさせるため、
性欲減退やインポテンツなどを発症しやすくなります。
特に妊娠希望の女性は早めの受診を
血液検査でプロラクチン濃度が高ければ、
次に頭のMRIを撮ります。
腫瘍が見つかっても即手術とは限らず、
薬物治療により値を下げていく方法がよく採用されます。
但し、1~2割の人には薬の効果がなく、
その場合は腫瘍の摘出手術を行います。
また、薬物治療を開始すると、
閉経まで薬を飲み続けなければならない可能性もあり、
その負担を考え、患者自ら手術を希望する場合もあります。
妊娠・出産時のような身体の状態になっているので
妊娠がしづらいですが、
治療を行いプロラクチン値が正常に戻れば、
妊娠・出産も可能になります。
症状に心当たりのある方は、一日も早い受診・検査を。