胎児に障害が起きる？妊婦さんは要注意。生肉内の原虫トキソプラズマ
妊婦さんは、レバ刺しや馬刺し、ユッケのような生食に注意！
焼き肉店では、火を通していない肉が出される事があります。
それは、レバ刺しや馬刺し新鮮なら牛肉などやユッケもあります。
これらの生肉の中には、哺乳類に寄生するトキソプラズマという
原虫が含まれている場合があります。
通常は、人がトキソプラズマに感染しても免疫力が低下して
いない限りは、これといった症状が見られる事はありません。
しかし、妊婦がこのトキソプラズマに感染すると、おなかの
胎児に流産や死産、先天的な障害をもたらす事があるのです。
トキソプラズマとは？
トキソプラズマは、哺乳類の体内にいる原虫です。
人への感染は、感染動物の肉を十分に加熱しないで食べたり、
感染猫のフンで汚染された土に触れて、その中に含まれる
トキソプラズマが口の中に入った場合に起きます。
土いじりなどでも手を十分に洗わないと口から
トキソプラズマが入る可能性があります。
母子感染の危険性、肉類の生食は危険
３月末に都内で開かれた日本寄生虫学会のトキソ
プラズマをテーマにした討論会で、患者会トーチの
会の代表渡辺智美さん（３２）歳は「妊娠４カ月の頃に
知人に誘われて焼き肉店でユッケやレバ刺しを食べました。
２週間後首のリンパ節が腫れたけど次第に治まったので、
気にしなかった」とコメントしています。
しかし、智美さんの長女は、９カ月の時に受けた超音波で
胎児の脳に異常が見つかりました。
血液検査などから確定した診断はトキソプラズマ母子感染で、
現在２歳の長女は、右半身に少しマヒがあり今後の発達にも
不安があります。
３年間で１６人の母子感染
トキソプラズマが母子感染すると、流産や死産のほかに、
生まれた赤ちゃんが水頭症や脳内石灰化、視力障害、
精神運動機能障害を伴う先天性トキソプラズマ症に
なる可能性が高くなります。
特に妊娠初期は、胎児への感染率は低いものの傷害の
程度は重くなります。
先天性トキソプラズマ症は、以前は日本ではまれな病気と
思われていました。
ですが、日本小児感染症学会の調査により全国の小児施設で
２００６年からの３年間に１６人が発生したことが
分かっています。
この調査はアンケート回収率が約４５％と低い上に
流産や死産は含まれない為に、実際にはさらに多くの
先天性トキソプラズマ症の母子感染があった事が考えられます。
薬の早期投与で、重症化を減らせるが認知不足がネックに
食肉の中にいるトキソプラズマは肉の中心が６７度に
なるまで加熱しないと死滅しません。
ハンバーグなどでもミディアム・レアなどを頼むと、
このトキソプラズマに感染する可能性があり、
妊婦の方は注意が必要です。
トキソプラズマは抗体検査で母親の感染の有無を調べて、
陽性ならさらに詳しい検査で、感染時期を特定する事が重要です。
陽性の場合には、胎児への感染を防ぐ薬を早期に投与する事で、
重症の胎児を減らせます。
しかし、医師の間ではまれな病気であるという認識が
依然として強く、抗体検査を実施している産婦人科は
５０％に留まります。
治療薬もトキソプラズマが適用除外だったり、国内未承認
だったりと母子を守る為の体制は十分とは
言えないのが現状です。
肉の生食を控えるのと同時に土いじりやペットにも注意
最近は、肉の生食ブームがあったりし、生肉類を口にする
機会が増えています。
しかし、肉の生食は管理が難しく、細菌が増加している
可能性もあるので注意が必要です。
また、猫はトキソプラズマの中間宿主であるネズミを獲り、
そこからトキソプラズマに感染している場合もあります。
妊婦の方は、ペットの猫とのスキンシップを、せめて
妊娠期間中は控えた方がいいでしょう。
