汗でアトピーが悪化する原因が解明!汗とアトピーの関係を知ろう。
アトピー患者を悩ます季節
アトピー性皮膚炎の患者は、ここ数十年で急増しています。
厚生労働省の調査によると、1993年のアトピー性皮膚炎の
患者数は22~28万人だったのに対し、
2005年には38万4千人に増加しています。
現在は、乳幼児の15~20%、学童期の6~10%、
青年期の2~4%がアトピー患者と言われています。
アトピー性皮膚炎の治療の基本は、保湿です。
肌が乾燥すると、肌のバリア機能が失われてしまい、
アトピーの症状が悪化します。
そのため、空気が乾燥する冬は、
アトピーが悪化しやすい時期です。
では、高温多湿の夏はどうでしょう?
肌が乾燥しないため、アトピーの症状も軽快すると
思うかもしれませんが、夏は汗をかきますよね。
アトピー患者が汗をかくと、自分の汗で
皮膚がかぶれてしまうので、夏でも症状は悪化します。
汗で症状が悪化する原因が解明!
広島大学大学院の秀道弘教授らの研究グループによって
アトピー患者が汗をかくと炎症を起こし、
症状を悪化させる原因がわかりました。
アトピー性皮膚炎患者が、
汗をかくことで炎症を引き起こす原因は、
人間の皮膚に存在するカビだったのです。
このカビは、「マラセチアグロボーザ」という名前で、
健康な人でも皮膚に常在しているカビです。
アトピー患者の場合、汗をかくと、
このマラセチアグロボーザがたんぱく質を作り出し、
そのたんぱく質が汗に溶け込んで、
体内でアレルギー反応を引き起こすそうです。
汗で症状が悪化するメカニズムや原因物質がわかったため
今後はより効果的な治療法やスキンケア用品の開発が
期待されています。
アトピー悪化の予防法は?
アトピー患者が汗をかくと、なぜ炎症を起こし、
症状が悪化するのかのメカニズムは解明されましたが
それに対しての有効な治療法や予防法は、まだありません。
夏になると、どうしても汗をかきますよね。
一日中、クーラーの効いた屋内にいるのは不健康ですし、
生活上の制限が多すぎます。
汗をかいても、症状の悪化をできるだけ防ぐためには、
汗をかいたら、できるだけ早く拭き取ることです。
汗専用の拭き取りシートなども販売されていますので、
そのようなもので、しっかり汗を拭き取るようにしましょう。
また、家に帰ったら、すぐにシャワーを浴びて、
肌を清潔に保つことも重要です。
そのほか、アレルギー源の除去、食生活の改善、
ストレスを溜め込まない、スキンケアを丁寧に行う、
定期的な皮膚科の受診など、日頃からアトピーの症状を
悪化させないような生活も大切です。
アトピーは、かゆみのストレスに加えて、
発疹や赤味など外見を気にするストレスも大きいですので、
できるだけアトピーを悪化させない生活を送りたいですね。