高齢者を熱中症から守るために、正しい知識と対処法を知っておきましょう。
熱中症患者が激増中
熱中症患者が最も多い時期は8月ですが、
今年の梅雨は気温が高い傾向があり、
特に西日本で猛暑が続いたため、
6月でも熱中症患者が増えています。
6月10~16日の1週間に、熱中症で救急搬送された人は
全国で1488人にも上りました。
このうち、65歳以上の高齢者は
701人と約半数を占めています。
気象庁によると、
今後も気温が高い傾向が続くとのことですし、
6月はまだ身体が暑さに適応できていない時期なので、
熱中症には十分に注意する必要があります。
熱中症の重症度とその対処法
熱中症はすぐに対処しないと、後遺症が残ったり、
命の危険がある病気です。
いざという時に適切な対処ができるように、
重症度別の対処法を知っておきましょう。
熱中症の重症度は、Ⅰ度~Ⅲ度に分けられています。
Ⅰ度は軽症で、めまいや失神(熱失神)、
筋肉の硬直や痙攣(熱痙攣)が起こります。
Ⅰ度の場合は、その場での適切な処置で回復できます。
涼しい場所に移動し、身体を冷やして、
水分補給を十分に行いましょう。
首筋や足の付け根など
太い動脈が通っている部分を冷やすと効果的です。
また、水分補給はスポーツドリンクなど
塩分が含まれているものを選んで下さい。
Ⅱ度は中等症で、脱水症状が進行し、頭痛や吐き気、
嘔吐、脱力感、倦怠感(熱疲労)などが現れます。
このような症状が現れたら、水分補給をして
身体を冷やしながら、医療機関を受診しましょう。
脱水症状が進んでいるため、
医療機関で点滴を受ける必要があります。
Ⅲ度は重症で、意識障害や全身性の痙攣、
歩行障害(熱射病)が起こり、
体温も40℃以上に上昇します。
重症の症状が見られたら、
ICUなどで全身管理を行う必要がありますので、
すぐに救急車を呼びましょう。
もし熱中症になっても、重症度が判別できないという場合や
Ⅰ度でも対処後も症状が改善しない、
悪化していくという場合は、
迷わず医療機関を受診するようにしましょう。
熱中症は高齢者が多い理由
上記の救急搬送件数のデータからも、
熱中症は高齢者がかかりやすい病気ということが
わかると思います。
なぜ、高齢者は熱中症にかかりやすいのでしょう?
高齢者が熱中症になりやすい理由は4つあります。
①高齢者は、子供や成人に比べて体内の水分量が少なく、
脱水になりやすい。
②高齢者になると、暑さに鈍感になる。
③汗をかきにくく、体温調節機能が低下している。
④持病を抱えている人が多く、熱中症の症状が進行しやすい。
これらの理由から、高齢者は熱中症になりやすいのです。
高齢者を熱中症から守るためには、
周囲の人が室内の温度調節をしたり、
水分補給を促す必要があります。
高齢者は、冷房を嫌ったり、
トイレが近くなるという理由で水分補給を
あまりしない人が多いですので、
周囲の人が気配りして、
高齢者を熱中症から守っていきましょう。