日本人に多い胃がん。スキルス胃がんについてと胃がんの予防法を知りましょう。
日本人に多い胃がん
がんは、人間の体内のいたるところで発生しますが、
その中でも、日本人に多いがんは胃がんです。
2011年の人口動態統計によるがん死亡データによると、
死亡数の多い部位別ランキングで、
胃がんは男性で第2位(第1位は肺がん)、
女性でも第2位(第1位は大腸がん)でした。
1990年代までは、胃がんは男女共に第1位でしたが、
治療法の確立と共に、
死亡率は少しずつ下がってきています。
日本人に胃がんが多い理由は、
その食生活にあると考えられています。
日本食は、基本的にヘルシーなことで世界的に有名ですが
塩分が多いという欠点があります。
塩分の高い食事を取っていると、
胃の粘膜を保護している粘液を破壊して、
炎症を起こします。
そうすると、胃がんの原因として知られる
ピロリ菌に感染しやすくなるのです。
また、慢性的に胃炎を起こしている状態は、
胃がんになりやすいと言われています。
胃がんは、塩分の取り過ぎだけが原因ではなく、
野菜や果物の不足や喫煙、
飲酒などの生活習慣も胃がんの発生リスクを
上げることがわかっています。
怖いスキルス胃がん
「スキルス胃がん」という言葉を
聞いたことはありますか?
スキルスとは、「硬い」という意味で、
その名のとおり、スキルス胃がんは
胃壁が硬くなるという特徴があります。
また、がん細胞がびまん性に浸潤し、
胃壁の粘膜面にはあまり変化が見られないまま
胃壁全体に広がっていきます。
スキルス胃がんの怖い点は、
最初は自覚症状がほとんどないため、早期発見が難しく、
発見が遅れてしまうことです。
食欲不振や体重減少、吐き気、血便などの症状が
続いたことで、医療機関を受診し、
スキルス胃がんが発見されたときには、
がん細胞が胃壁全体に広がっていて、
治療困難となるケースが多いのです。
リンパ節転移しやすいことも、スキルス胃がんの特徴です。
スキルス胃がんが発見されるのは、
進行してからのことが多いですし、
胃壁全体にがん細胞が広がっているため、治療が困難で、
悪性度の高いがんと言えるでしょう。
胃がんの予防法は?
胃がんの原因は、上記で述べた食生活や生活習慣以外に、
ピロリ菌が有名だと思います。
ピロリ菌は、日本人の50代以上の80%が持っている細菌で、
萎縮性胃炎を引き起こして、胃がんになる可能性があり、
最近はピロリ菌の除去治療をする人も増えてきています。
確かに、胃がん予防にはピロリ菌の除去は有効なのですが
スキルス胃がんとピロリ菌はあまり関連性がない
と報告されていますので、
スキルス胃がんを予防するには、
生活習慣を見直すしかありません。
また、スキルス胃がんを含めた胃がんは、
早期発見・早期治療が非常に重要となります。
胃がんの5年生存率は、
ステージⅠの場合99.1%と非常に良いのですが、
ステージⅡで72.6%、ステージⅢで45.9%、
ステージⅣで7.2%とがんが進行するにつれて、
どんどん生存率が下がっていくからです。
そのためにも、
1年に1回は健康診断を必ず受けるようにし、
食欲不振や体重減少など気になる症状があれば、
すぐに検査を受けるようにしましょう。