糖尿病は認知症のリスクが高まるだけじゃない!糖尿病の合併症について知りましょう。
糖尿病と認知症の関係
生活習慣病である糖尿病ですが、アメリカの保険会社と
オランダのユトレヒト大学医療センターの共同研究で、
糖尿病患者が、10年後に認知症を発症するリスクを
予測するリスクスコアが作られました。
このリスクスコアは、
合併症の有無、年齢、学歴の3つに分かれていて、
合併症は、「低血糖=2点」、「腎症や網膜症=1点」、
「下肢の障害=1点」、「脳血管障害=2点」、
「心血管疾患=1点」、「うつ=2点」。
年齢は、「60~64歳=0点」、「65~69歳=3点」、
「70~74歳=5点」、「75~79歳=7点」、
「80~84歳=8点」、「85歳以上=10点」、
学歴は「高卒以上=0点」、
「大卒以上=-1点」としています。
合併症、年齢、学歴の3つのスコアを合わせた合計点で、
10年後の認知症発症リスクがわかり、
0点で7%、5点で25%、10点で63%、12点以上で73%と
なっています。
もともと、糖尿病を持っている人は、
健康な人と比べて認知症発症リスクは
2倍以上高いことがわかっていますが、
上記のような合併症や年齢の要因が加わると、
さらにリスクが高まるということですね。
糖尿病の三大合併症
糖尿病は、認知症のリスクを上げるだけではありません。
糖尿病が恐ろしいと言われる理由のひとつに、
三大合併症があります。
糖尿病の三大合併症とは、
糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害のことです。
これらは、糖尿病の適切な治療をせず、
病状が進行すると現れます。
糖尿病性網膜症とは、眼底の血管が脆くなることで、
網膜に出血が起こります。
出血が起こると、視力低下や視野の異常などの症状が出てきて、
そのまま放置すると失明してしまいます。
糖尿病性腎症は、腎臓の糸球体が障害され、
尿中に老廃物が排泄されず、腎不全が進み、
尿毒症になってしまいます。
腎不全が進行すると、透析療法を行わなくてはならず、
技術が進歩しているとはいえ、
日常生活に様々な制限が出てきて、
QOLが著しく低下します。
糖尿病性神経障害は、下肢の切断につながります。
もともと、糖尿病は血行障害が起こりやすく、
免疫力も低下しています。
そのような状態に、神経障害が加わると、
足に傷ができた場合、
神経障害があるため傷に気がつくのが遅れてしまいます。
気づいたときには感染から壊疽が起こり、
切断を余儀なくされてしまうのです。
足切断予防にはフットケア
糖尿病が原因の下肢切断を予防するためには、
血糖コントロールや
血圧・コレステロールのコントロールなど基本的なもの以外に
フットケアが重要といわれています。
アメリカのラルフォード足・関節研究所によると、
適切なフットケアをすれば、
足切断の75%は予防できるそうです。
足切断予防のためのフットケアとは、
「入浴後はよく乾かし、傷がないか観察する」、
「傷を付けないために、家の中でも素足で歩かない」、
「自分に合った靴を履く」、
「足の傷は自分で処置せず、主治医に相談する」
などがあります。
どれも簡単にできることですよね。
糖尿病性神経障害による足の切断を予防するためにも、
糖尿病の人は、日頃のフットケアを行っていきましょう。