海外から持ち込まれる輸入感染症。空港ではきちんと検疫所に相談するようにしましょう。
少しずつ広がる鳥インフルエンザ
2013年3月末から中国では
鳥インフルエンザ(H7N9型)が流行しています。
2014年に入ってからも、流行は終息する様子を見せず、
ジワジワと拡大しています。
2014年1月~3月の中国本土での
鳥インフルエンザ(H7N9型)の感染者は250人、
死者は96人となっています。
また、台湾では4月25日に中国旅行から帰ってきた
39歳男性の感染が確認され、
台湾では4例目のH7N9型の感染例となり、
現在は隔離治療を受けているそうです。
中国での鳥インフルエンザの流行が
終息に向かっていない以上、
いつ日本で感染者が確認されても
おかしくない状況には変わりありません。
輸入感染症とは?
鳥インフルエンザ(H7N9型)が
日本に入ってくる可能性はありますが、
鳥インフルエンザのほかにも、日本にはない、
もしくは日本では珍しい感染症はたくさんあります。
海外渡航した際にそのような感染症にかかり、
日本国内に持ち込まれるものを
輸入感染症と呼んでいます。
主な輸入感染症は、コレラや細菌性赤痢、腸チフス、
マラリア、デング熱、チクングニア熱などになります。
東南アジアやアフリカなど熱帯、
亜熱帯地方で流行する感染症が多いですね。
このほか、現在西アフリカのギニアで流行している
エボラ出血熱や中東地域で流行している
中東呼吸器症候群(MERS)などは、
まだ日本での感染は確認されていませんが、
輸入感染症に分類されています。
デング熱が世界的に流行中
輸入感染症の中で、
世界的に流行を見せているのがデング熱です。
デング熱は蚊が媒介する感染症で、
東南アジア、南アジア、中南米、
カリブ海諸国などで発生しています。
3~7日の潜伏期間の後、
発熱、頭痛、関節痛などの症状が出ます。
通常、デング熱を発症しても、
それほど重症化せずに治癒しますが、
重症化するとデング出血熱に移行し、
死亡する危険があります。
このデング熱が昨年ごろから世界的に流行していて、
特に2013年秋ごろからは日本人旅行者の多い
タイやシンガポール、台湾でも流行しています。
デング熱の予防は、
とにかく蚊に刺されないことが重要ですので、
肌の露出を少なくする、
蚊取り線香や虫除け剤を活用する等の対策を
とる必要があります。
帰国時は検疫所へ
海外から帰ってきたとき、空港の検疫所を通りますよね。
いつも何気なく通過したり、多少何らかの症状があっても
「多分大丈夫だろう」と自己判断して、
検疫所に症状の報告をしないという人が
多いかもしれません。
でも、海外で何らかの症状が出た場合、自己判断せずに、
きちんと検疫所で相談する必要があります。
帰宅してから医療機関を受診すれば良いと
思われるかもしれませんが、
そのちょっとしたタイムロスが、
日本国内に輸入感染症を広めてしまうことに
なるかもしれません。
また、地域の医療機関では
海外で流行している感染症についての危機感が乏しく、
検査や診断、治療が遅れてしまう可能性がありますので、
輸入感染症の専門とも言える検疫所に相談したほうが、
輸入感染症に感染していた場合の対処が
スムーズに行われます。
海外からの長時間のフライトで疲れていて、
「ちょっと面倒」、「早く帰宅したい」
と思うかもしれませんが、気になる症状がある時は、
きちんと検疫所に相談するようにしましょう。