死に至ることもある寄生虫。恐ろしい寄生虫1位から10位までをご紹介します。
怖い寄生虫第1位は有鉤条虫
国際連合食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)は、
世界の21人の専門家を集めて、
世界的な感染者数や急性症状、
慢性症状など様々な面を考慮して、
食品から感染する寄生虫のうち、
世界的な脅威の恐れがあるトップ10を発表しました。
この発表で最も恐ろしい寄生虫第1位となったのは
有鉤条虫です。
有鉤条虫とは、
豚やイノシシの筋肉に生息する寄生虫で、
成虫は人間の腸に寄生するサナダムシの一種です。
有鉤条虫が怖いのは、
成虫よりも幼虫である有鉤嚢虫です。
成虫である有鉤条虫が
腸に寄生しているだけの状態であれば、
腹痛や下痢、体重減少などが主な症状になりますが、
有鉤条虫の卵を飲み込んだり、
体内の有鉤条虫が卵を産んでそれが孵化し、
有鉤嚢虫となった場合は危険です。
有鉤嚢虫は血流に乗って、全身に進入し、
眼球や脳に寄生するようになります。
脳に寄生すると、意識障害や痙攣、
全身麻痺を起こして、死に至ることもあります。
有鉤条虫は、
生もしくはきちんと加熱されていない豚肉や
虫卵に汚染された食品や水などから感染します。
また、近年では輸入キムチが原因と思われる症例も
報告されています。
第2位、第3位はエキノコックス
怖い寄生虫第2位は単包条虫で、
第3位が多包条虫となっています。
どちらもエキノコックス属に属する寄生虫で、
それぞれ単包性エキノコックス症と
多包性エキノコックス症を発症します。
エキノコックス症は、
感染してから約10年程度は
無症状で経過することが多いという特徴があります。
エキノコックスによる嚢胞が徐々に大きくなると、
肝障害を起こしたり、肺に寄生して咳や胸痛など
結核のような症状を引き起こし、
進行して脳に転移すると、
意識障害や痙攣を起こして死に至ります。
犬やキタキツネの糞に汚染された
食品や水から感染します。
エキノコックス症は、
放置した場合の5年生存率は30%と言われてる
恐ろしい病気です。
4位以下にも怖い寄生虫が
4位以下の寄生虫も見てみましょう。
4位はトキソプラズマです。
トキソプラズマは、
加熱が不十分な肉類から感染する寄生虫ですが
妊婦が感染すると胎児に悪影響を及ぼすため
危険性は高いと言えるでしょう。
5位はクリプトスポリジウムです。
感染源は、動物の糞に汚染された食品や水です。
このクリプトスポリジウムは、
下痢や腹痛、食欲不振、倦怠感などで、
2~3週間で自然治癒する場合が多いのですが、
怖いのは集団感染の危険性が高いことです。
クリプトスポリジウムは、
水道水などが原因で集団感染を起こしやすく、
1980年代から欧米では
水道水による集団感染が報告され、
1993年にはアメリカで40万人以上の住民が感染し、
日本でも1996年に埼玉県で
約8800人が感染した事例があります。
6位は赤痢アメーバ、7位が旋毛虫、
8位は後睾吸虫科(肝吸虫など)、9位が回虫、
10位がクルーズトリパソノーマとなっています。
耳慣れない寄生虫ばかりですが、
放っておくと死に至るものも多いです。
食品や水が汚染されているかどうかは、
見た目にはわかりにくいですので、
清潔で信用できる食品や水を扱うこと、
ちょっとでも汚染されている可能性がある場合は
迷わず捨てること、
肉や魚類はしっかり中心部まで加熱すること
などが私たちにできる予防策だと思います。