カビが原因で命を落とす?カビが原因の病気について知りましょう。
毒性の強いカビ=アスペルギルス
カビというと、「食べ物を放置していた時に出てくるもの」、
「バスルームなど湿度の高いところに出てくるもの」
というイメージがありますよね。
そのカビが、私たちの健康を脅かす可能性もあるんです。
カビが原因の病気といえば、
水虫やカンジタなどが思い浮かびますが、もっと毒性が強く、
死に至る可能性があるカビもあるんです。
毒性が強いカビの1つにアルペルギルスがあります。
アスペルギルスは環境中に広く生息しているカビですので、
誰でも毎日のように吸い込んでいるのですが、
健康な人はアスペルギルスを吸い込んでも、
免疫機能が働きますので、特に症状は現れません。
でも、免疫が低下している人は、
呼吸器系統など全身に感染して、
様々な症状を引き起こすんです。
呼吸器に進入すると
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症を引き起こし、
血痰や喘息、肺炎、副鼻腔炎などの症状が現れます。
血管内に進入すれば、口蓋や歯肉に潰瘍ができたり、
血栓や出血性壊死が起こり、
中枢神経系に感染を起こすと脳腫瘍ができます。
治療が遅れれば致死率が高いので、
恐ろしいカビなんです。
健康な人で感染する強毒カビは?
アスペルギルスは免疫力が低下した人が感染しますが、
健康な人でも感染する強毒カビがあります。
それは、クリプトコッカス・ネオフォルマンスです。
クリプトコッカス・ネオフォルマンスは、
鳩の糞に含まれていることがわかっています。
クリプトコッカス・ネオフォルマンスを吸い込むと、
肺で感染を起こし、クリプトコッカス症を発症します。
クリプトコッカス症は、肺で感染を起こした時点では
症状が現れないことが多いのですが、
その後中枢神経系に感染が拡大し、
髄膜炎や脳炎を引き起こすことがあるんです。
クリプトコッカス性髄膜炎は、頭痛や発熱、昏睡、
人格変化、記憶障害などの症状が出て、
致死率は12%と言われています。
ただ、クリプトコッカス・ネオフォルマンスは
鳩の糞に含まれていますが、
吸い込んでも必ず感染するわけでもなく、
鳩との接触が多い人が罹患率が高いわけでもないので、
まだまだ解明されていない部分が多いんです。
脳に腫瘤ができるクリプトコッカス・ガッティ
クリプトコッカス・ネオフォルマンスと同属のカビの1つに
クリプトコッカス・ガッティがあります。
このクリプトコッカス・ガッティは、
基本的に日本には存在していないカビですが、
毒性が非常に強く、
北米などではクリプトコッカス・ガッティの
集団感染も発生しています。
クリプトコッカス・ガッティは鼻腔や肺に定着したあと、
ほかの部位へ広がり、肺や脳、筋肉などに腫瘤ができたり、
髄膜炎や肺炎を引き起こします。
アメリカでの調査によると、
クリプトコッカス・ガッティに感染すると、
致死率は約20%となっています。
また、今までは北米のみで感染が確認されていましたが、
2007年には日本で北米への渡航歴がない男性が、
クリプトコッカス・ガッティに感染して、
脳に直径5センチの腫瘤ができたという症例がありました。
たかが「カビ」ですが、
カビの中には命を落とすカビもあるんですね。