減少しない若い女性の喫煙率。妊娠中の喫煙が胎児に及ぼす影響を知りましょう
若い女性の喫煙率の現状
ここ数十年で、タバコの健康へ及ぼす影響が明らかになり
世の中は禁煙ブームになっています。
喫煙は、肺がんや咽頭がん、
食道がんの発症リスクを高めるだけでなく、
動脈硬化の促進や慢性気管支炎や肺気腫などの呼吸器系疾患
歯周病のリスクも高くなります。
日本でも禁煙が進んでいて、男性の場合、
昭和40年の喫煙率は82.3%だったのに対し、
平成24年では32.7%と喫煙率が
約50ポイントも下がっています。
しかし、女性の場合は昭和40年の喫煙率は15.7%で、
平成24年の喫煙率は10.4%とあまり減少していません。
特に、20~30代の若い女性の間で、禁煙は進んでおらず
平成10年前後のピーク時に比べれば多少減少していますが
昭和40年と比べると喫煙率が増加しているのが現状です。
平成24年の20代女性の喫煙率は11.4%、
30代女性の喫煙率は15.4%でした。
妊婦の喫煙が胎児に及ぼす影響
20~30代の女性の喫煙で、最も問題になるのが、
妊娠中の喫煙です。
もともと喫煙は、健康に害を及ぼすものですが、
妊娠中に喫煙すると、
お腹の赤ちゃんにも大きな影響を及ぼします。
では、妊娠中の喫煙が胎児に及ぼす影響について、
具体的に見てみましょう。
タバコを吸うと、血液中のヘモグロビンと一酸化炭素が
結びつくことで、低酸素状態となります。
お腹の赤ちゃんは、
お母さんの血液から酸素や栄養分をもらって成長しますので
赤ちゃんも低酸素状態となってしまうのです。
妊婦がタバコを吸うたびに、
お腹の赤ちゃんの呼吸運動は減少したり、
停止すると言われています。
また、流産や早産の危険が高まります。
1日20本喫煙する妊婦と非喫煙の妊婦では、
流産の確率は2倍、早産の確率は1.5倍に増加します。
低体重児の確率も高くなります。
喫煙者の妊婦から産まれる赤ちゃんは、非喫煙者の場合と比べて
170~250g体重が少ないというデータがあります。
体重が少ないということは、未熟児で産まれる確率が
高いということですので、知能や発達の遅れにつながります。
そのほか、前置胎盤や常位胎盤早期剥離、
早期破水のリスクも上がりますし、
胎児の先天性異常も増加します。
妊娠発覚後、すぐに禁煙しても間に合うか?
通常、妊娠に気づくのは、早い人で妊娠2ヶ月に入ってすぐ
遅い人だと3~4ヶ月にならないと気づかないこともあります。
喫煙者が妊娠すると、受精してから最低でも2週間、
長いと2ヶ月は妊娠に気づかずに、
喫煙を続けているということです。
妊娠に気づいた後、すぐに禁煙しても、
胎児に影響が出るのか気になるところですよね。
イギリスのサウサンプトン大学のニック・マックロン教授らの
研究チームの調査によると、
妊娠がわかった時点で禁煙した妊婦から産まれた赤ちゃんは、
そのまま喫煙を続けた妊婦から生まれた赤ちゃんよりも、
体重が平均300g重いことがわかっています。
また、妊娠7~8週頃に
初めて病院を訪れた妊婦の追跡調査を行ったところ、
妊娠2ヶ月ごろに妊娠に気づいた場合でも、
その時点で禁煙すれば平均体重の赤ちゃんを
出産できる可能性が高いことが示唆されたそうです。
妊娠に気づいて、すぐに禁煙すれば、
胎児への影響はあまり心配ないということですね。
でも、妊娠に気づくのが遅くなることもありますし、
妊娠発覚後すぐに禁煙しても、胎児への影響は
ゼロではありませんので、妊娠を希望している女性は、
できる限り禁煙したほうが良いでしょう。