中年以降の女性に多い尿トラブル。その原因と対処法を知りましょう。
40代以上の女性に多い尿トラブル
日本排尿機能学会の調べで、
40歳以上の女性では2人に1人が頻尿に、
7人に1人が尿漏れに悩んでいることがわかりました。
全国75地点で無作為に抽出した
40歳以上の男女4570人を調べたところ、
全国には夜間に1回以上起きて尿をする夜間頻尿は2347万人、
1日8回以上尿をする頻尿は1722万人、
咳やくしゃみなどで尿が漏れる人は461万人、
残尿感がある人は375万人いると推計されています。
40代女性の2人に1人が、
何らかの尿トラブルを抱えているという結果は、
思ったよりも数が多くて驚きますよね。
日本排尿機能学会は、
2008年に男性向けの治療指針をまとめたことに続き、
科学的根拠に基づいた女性の尿トラブルの治療指針を
「強く勧められる=A」、「勧められる=B」、
「勧められない=D」など5段階にまとめて発表しています。
尿トラブルの原因
女性に多い尿トラブルの原因は、
腹圧性尿失禁と過活動膀胱です。
通常、重いものを持ったり、
くしゃみや咳をした時などお腹に強い力がかかった場合、
膀胱や尿道を支える骨盤底筋という筋肉が収縮して
尿道が締まり、尿漏れを防いでいます。
しかし、腹圧性尿失禁の場合は、
出産や加齢に伴って骨盤底筋が緩んでしまい、
腹圧がかかったときに尿がもれてしまうのです。
この腹圧性尿失禁は、
女性が圧倒的に多いという特徴があります。
骨盤底筋の緩みが、
出産や女性ホルモンの減少によるという理由もありますが
女性は男性に比べて尿道が短く、
体の構造的に尿漏れしやすいからなんです。
過活動性膀胱は、自分の意思とは関係なく、
膀胱が勝手に収縮してしまうことで、頻尿になったり、
尿漏れを起こしてしまう現象です。
過活動性膀胱の症状には、
トイレの回数が多くなる頻尿や
突然の尿意に襲われる尿意切迫感、
尿意を感じてからトイレまで我慢できない切迫性尿失禁
などがあります。
尿トラブルの治療法
腹圧性尿失禁の治療は、骨盤底筋体操が中心となります。
骨盤底筋体操とは、
①膣や肛門の筋肉に力を入れて、10秒間引き締める。
②力を緩めて10秒間リラックスする。
③これを10回繰り返す。
というものです。
この骨盤底筋体操は、
布団の上で仰向けになりながらできるものですので、
起床後や就寝前などを利用して、
1日5セット行うようにしましょう。
過活動性膀胱の場合は、骨盤底筋体操に加えて、
抗コリン剤の内服でも症状を改善することができます。
上記のような腹圧性尿失禁や過活動膀胱の場合、
ちょっと恥ずかしくて、
なかなか病院を受診しない人も多いと思いますが、
病院を受診し、治療をすることで症状を改善できますので
恥ずかしがらずに病院を受診するようにしましょう。