発熱のメカニズムと対処法を知りましょう。熱への対処法は、その時の症状によって異なります
発熱のメカニズム
風邪を引くと、熱が出ますよね。
なぜ、熱が出るのでしょう?
身体の中でどのような変化が起きて
熱が出るのかご存知ですか?
ウイルスや細菌など風邪の原因が体内に侵入すると、
白血球やマクロファージなどの免疫活性食細胞が
ウイルスや細菌を異物とみなして、
食べるように取り込んで戦います。
免疫活性食細胞がウイルスや細菌と戦うと、
サイトカインという発熱物質が発生します。
このサイトカインは血流に乗って脳に達しても、
直接体温中枢である視床下部に行くことはできません。
そのため、
メディエイタという情報伝達物質を作り出して、
メディエイタを視床下部に送り、
メディエイタからの情報を受け取った視床下部が
体温を上げるように指令を出すのです。
熱を出すことによって、
体内に侵入した病原菌の増殖を抑制したり、
免疫機能を活性化するなどの効果があります。
熱が出たら冷やす?温める?
熱が出たら、どのような対処をしていますか?
とりあえず「氷枕や冷却シートを用意する」という人や
「たくさん着込んで汗をかく」という人が
多いかもしれません。
熱への対処法は、その時の症状によって異なります。
まずは、「寒い」と感じる時です。
これは、熱の出始めです。
視床下部の体温中枢が熱を上げる指令を出したために、
毛細血管を収縮させて熱を逃がさないようにし、
さらに筋肉を収縮して震えさせることで
熱を産生しようとしているのです。
このように寒さを感じる時は、身体を無理に冷やさず、
しっかり着込んで温かくしましょう。
熱が上がりきると、
今度は「暑い」と感じるようになります。
暑いと感じるようになったら、
身体から熱を逃がしてあげる必要があります。
布団は薄手のものにし、
服も薄着にして熱の放散を促しましょう。
また、氷嚢や保冷剤で身体を冷やすことも有効です。
この時、頭を冷やすのではなく、
太い血管が走っている首筋や脚の付け根を
冷やすようにしましょう。
頭を冷やすのは、熱を下げる効果は低いのですが、
患者さん本人が頭を冷やすことで
「気持ち良い」と感じるようであれば、
冷却シートや氷枕を使って頭を冷やしてあげましょう。
また、暑いと感じるときに
「たくさん着込んで汗をかく」のは、
逆に熱をこもらせる原因となり、
解熱の妨げとなりますので
止めておいたほうが良いと思います。
発熱時のお風呂や食事
昔は、熱があるときに
お風呂に入ると悪化すると言われていましたが、
現在は本人が希望するのであれば、
熱があっても入浴して良いとされています。
ただ、長く湯船につかると、
体力を消耗して悪化する可能性がありますので、
発熱時の入浴は短時間で済ませましょう。
また、食事についてですが、
基本的に本人が食べたいもの、
食べられるものを用意してあげましょう。
ただ、脂分の多いものは胃腸に負担をかけますので、
炭水化物や消化に良いものが良いでしょう。