どうして肝臓は再生できるのか?1か月で元の大きさに戻る肝臓の不思議
自分の尻尾を切り離すやもりと、千切った分だけ増加するプラナリア
生物の中には、手が切れても生えてくるような
脅威の生態を持つものがいますよね?
やもりは、自分の意志で尻尾を切り離し、
敵が動き回る尻尾に夢中になっている間に、
逃げるというテクニックを持っています。
それから原始的な生物には、
プラナリアという生物がいますが、
こいつは胴体を千切ると、千切った分だけ再生します。
つまり、5つに千切ると、5匹に増加してしまうのです。
ギョッとしませんか?
♪一人に一つづつ、大切な命~は、
プラナリアに限っては、当てはまらないという事になります。
これならば、プラナリアは寿命が来る前に、
千切っていけば、無限に生き続けるというのも
不可能ではありません。
原始的な造りのプラナリアは、
人類の夢である不老不死をすでに実現させている
という事でしょうか?
どうして、肝臓は、再生できてしまうのか?
さすがに人間の体は、
切り離してしまうと再生は出来ません。
しかし、臓器には再生可能なものがあります。
それが、肝臓です。
生体間移植で、
親族から肝臓移植手術を行う事がありますが、
この時に、一部を切り取った肝臓は再生を始め、
切り取る前の大きさに戻ると再生が停止します。
ちなみに、肝臓を半分に切ってしまうと、
人間ならば1カ月、
マウスやラットなら1週間で元の大きさに戻ります。
実際の所、どうして、肝臓を切り取ると、
元の大きさまで戻るのかはよく分かっていないそうです。
再生出来ない臓器と再生出来る臓器の違いとは?
では、どうして、肝臓は再生できるのに、
例えば肺とか腎臓は再生できないのでしょうか?
それは、肝臓が肝細胞という
一種類の細胞で成立しているからです。
1種類の細胞なので、細胞分裂によって、
肝細胞から細胞を造り上げる事が出来るのです。
一方で、他の臓器は、細胞の種類が1種類ではなく、
多種の細胞で成立している為に、
一部から全体を再生できないのです。
この違いによって、
肝臓は再生可能な臓器となっているのです。
意外な事ですね。
再生可能であるからこそ、病気が悪化しやすい肝臓
このように、再生能力がある肝臓は、
多少の傷なら自分で修理してしまうガマン強い臓器です。
しかし、だからこそ、病状がかなり悪化するまで、
症状に気が付かず発見されると手遅れも多い、
沈黙の臓器の代表格と言われています。
タフな肝臓を過信する事なく、日頃から、
少しでもオカシイと思ったら病院を受診しましょう。