歯周病は、全身に悪影響を及ぼす病気です。正しい歯磨き方法で歯周病を予防しましょう。
歯周病が原因で脂肪肝炎に?
日本人の成人の80%は、歯周病と言われています。
歯周病とは、歯と歯肉の間に細菌が繁殖し、
炎症を起こして、腫れたり赤くなったりする病気です。
歯周病というと、口の中だけの病気と思いがちですが、
歯周病が原因で脂肪肝になるって知っていますか?
横浜私立大学付属病院の中島教授らの研究によると、
非アルコール性脂肪肝炎の患者は、
健康な人と比べて歯周病菌の「P.ギンギバリス」の
保菌率が高いことがわかりました。
また、この「P.ギンギバリス」も
持っている非アルコール性脂肪肝炎の患者さんに、
歯周病の治療をしたところ、
肝臓の機能を示す血液検査の値が改善したそうです。
歯周病菌は、体内で免疫システムが働いていても、
長時間生き残ることがわかっています。
そのため、
血液中に歯周病菌が肝臓に到達し炎症をおこすため、
非アルコール性脂肪肝炎を促進すると考えられています。
歯周病が原因の病気は脂肪肝炎だけではない!
歯周病の原因は、口の中の細菌です。
体内に細菌が侵入すると、
白血球などの免疫システムが働いて、
細菌を退治しようとしますが、
この時にTNF-αという物質が放出されます。
このTNF-αは、動脈硬化や糖尿病などの
生活習慣を促進させる作用があることがわかっています。
つまり、歯周病を持っている人は、
自分で気づかないうちに動脈硬化や糖尿病が
進行する手助けをしているということです。
動脈硬化が進めば、
動脈壁に粥状のプラーク(脂肪の塊)が付いて、
動脈が細くなり、血管が詰まりやすくなりますし、
プラークが破裂すれば血栓となります。
これらが原因で血管が詰まると、
当然血流がストップしますよね。
血流がストップした場所が、
心臓に酸素や栄養を送る冠動脈だったら
心筋梗塞になりますし、
脳だったら脳梗塞になります。
歯周病患者は、心疾患のリスクが2倍、
脳卒中のリスクは2.8倍と言われています。
また糖尿病に関しては、
糖尿病を治療すれば歯周病も改善し、
歯周病を治療すれば糖尿病も改善する
という研究結果が出ていて、
歯周病と糖尿病は深い関連性があることが
判明しています。
歯周病を予防するには
全身に悪影響を及ぼす歯周病を予防するためには、
とにかく歯磨きをしっかり行い、
口の中を清潔に保つことが重要です。
特に、歯と歯肉の間を重点的に磨くようにしましょう。
歯周病予防に効果的な歯磨き方法は、
歯と歯肉の境目に歯ブラシを45度の角度に当てて、
細かく横に動かすようにして磨くと、
歯と歯肉の間の汚れや細菌を除去しやすくなります。
ただ、既に歯周病にかかり、歯肉から出血のある人は、
あまりゴシゴシ強く磨いてしまうと、
さらに歯肉を傷つけ、傷口から歯周病菌が入り込み、
血流に乗って全身に周ってしまいますので、
最初は柔らかめの歯ブラシを使って、
優しく磨くようにして下さい。