まだ増え続けている「HIV感染者」。他人事とは思わず警戒を!
新たな感染者・発症者数は20年前の3倍
先ごろ、厚生労働省のエイズ動向委員会より、
2013年の1年間で新たににHIV感染が確認された人と
エイズを発症した患者の合計数が、
1546人だったという発表がありました。
皆さんはこの数字をどう見るでしょうか。
1981年に世界で初めての
エイズ発症例が報告されて以来、
世界中でHIV感染者・エイズ発症者の数は
増え続けています。
日本では、
この数年間1500人前後で上げ止まってはいますが、
それでも20年前に比べれば約3倍もの人が、
毎年新たに感染・発症しているということになります。
HIV感染=エイズではない
ところで、ここまで
「HIV感染者」「エイズ発症者(患者)」
と書き分けているのには理由があります。
この両者はイコールではありません。
HIVウイルスに感染しただけでは、
エイズとは呼ばれません。
感染後、数年間は何の症状も見られないことが多く、
しかし次第に免疫力が低下していきます。
それにより「日和見感染症」と呼ばれる
様々な症状や悪性腫瘍を発症するようになると、
エイズ(=後天性免疫不全症候群)
と診断されるのです。
この、潜伏期間ともいえる自覚症状のない間に、
他の人に感染させてしまったり、
発症してしまうと治療が難しくなったりするため、
早期発見が非常に重要とされます。
「献血でHIVがわかる」は都市伝説
昨年11月、輸血用の血液にHIVウイルスが
混入する問題が発覚しました。
HIV感染リスクのある性的接触を持った男性が、
その事実を伏せ、
HIVの検査目的で献血をしたのです。
結局、男性は感染していましたが、
感染初期だったのでウイルスが微量で検出できず
検査をすり抜けてしまい、悲劇は起きました。
その血液は2人の患者に輸血され、
うち1人はHIVに感染してしまったのです。
HIV検査は、
保健所で無料かつ匿名で受けることができます。
にもかかわらず、
献血を利用してHIV判定をしようという
迷惑な人が少なからず存在します。
しかし、献血でHIV陽性が判明しても、
基本的に本人には通知されませんし、
このケースのように
検査をすり抜けてしまうこともあります。
もし、少しでも身に覚えがあるのならば、
必ず保健所やしかるべき機関を利用して、
正確な検査を受けなくてはなりません。
エイズはもう不治の病ではない
初めてエイズというものが報じられた時、
それは恐ろしい症状に蝕まれて死んでいく
「不治の病」でした。
しかし、医学の進歩により多くの治療薬が開発され、
現在ではかなりのコントロールが可能な病気と
なってきています。
今はまだ、
体内から完全にウイルスを除くことはできず、
薬を飲み続ける必要もあります。
それでも、適切な治療さえ受けていれば、
感染前と変わらない生活を送り、仕事を続けることも
家庭を持ち出産することも可能です。
その治療を困難にさせないためにも、
発症前に感染を発見して、
早い段階で治療に取り組む必要があるのです。