鳥から感染するオウム病。鳥を飼っていなくても、感染することがあります。
鳥を飼っていなくてもオウム病に注意
神奈川県川崎市の社会福祉施設で
2014年2月24日から3月10日までに
施設の入所者と職員が相次いで発熱したり、
肺炎になったりしたことがありましたが、
市健康安全研究所の調査で
この社会福祉施設での発熱や肺炎は
オウム病に感染したためであることがわかりました。
オウム病に感染したのは、
職員と入所者合わせて12名で、
現在は全員回復しているとのことです。
この社会福祉施設では、
オウム等の鳥類は飼育していませんでしたが、
2013年の夏ごろから、換気扇の外側に
ハトが巣を作って繁殖していました。
そのハトの糞から患者と同じタイプの
オウム病クラミジアが検出されていて、
換気扇から室内に入った糞を吸い込んで
感染したと見られています。
オウム病とは?
オウム病とは、オウム病クラミジアという
クラミジアの一種である細菌が原因の感染症です。
オウム病クラミジアに感染した鳥類の排泄物や
羽毛の塵埃を吸い込むことにより感染します。
オウム病という名前から、鳥類の中でも
オウムだけが感染源となると思われがちですが、
オウム病の感染源で最も多いとされているのは、
セキセイインコであり、それに次いでハト、
オウムの順と推定されています。
オウム病は30~60代で発症することが多く、
小児の発症は比較的少ないとされています。
現在、オウム病は年間40例ほど報告されていますが、
オウム病と診断されずに、
マイコプラズマ肺炎やクラミジア肺炎のように、
「異型肺炎」として診断され治療しているものが
多数あるのではないかと見られています。
また、以前は集団感染することは稀でしたが、
2001年以降は動物展示施設での集団感染が
数件確認されています。
オウム病の症状
オウム病に感染すると、1~2週間の潜伏期間を経た後、
インフルエンザのような突然の高熱や咳、頭痛、
筋肉痛、関節痛等の症状が出て、
治療が遅れると肺炎や気管支炎などの
呼吸器症状を引き起こします。
さらに重症化すると、呼吸困難や意識障害、
髄膜炎や心膜炎、心筋炎、膵炎などの合併症を起こし、
死に至ることもあります。
オウム病はクラミジアに有効な抗生物質を
早期に投与すれば、重症化することなく回復します。
ただ、ワクチンなどはないため確実な予防策はなく、
鳥類との濃密な接触を避ける、
鳥かごの掃除をする時はマスクを着用する
等が予防策となります。
上記ニュースのように、鳥類を飼育していなくても
オウム病に感染することはありますので、
発熱等の症状が出たら、
速やかに医療機関を受診するようにしましょう。