イメージ画像

緩和ケアという意味を誤解していませんか?緩和ケアについて知りましょう。




緩和ケアの意味とは?

140704-2

「緩和ケア」というと、どんなイメージがあるでしょう?

「末期がんで有効な治療がない人に、
痛みを取り除くために行われる治療」だと
思っていませんか?

これは間違いです。

緩和ケアは、がんによる痛みや倦怠感などの
様々な身体的な苦痛と精神的な苦痛を
緩和させるためのものですが、
がんであると診断された時から始められるもので、
末期がんの患者さんだけに
適用されるわけではありません。

以前は、「緩和ケア=末期がん」という認識で
間違っていなかったのですが、
現在ではがんのステージに関係なく、
がんの治療と並行して行われるべきものとされています。

ただ「緩和ケア=末期がん」という間違った認識は、
患者さんだけでなく
治療にあたる医師や看護師も持っていて、
なかなか正しい緩和ケアの意味が
広がっていかないのが現状です。

この現状を受けて、厚生労働省は
「すべてのがん患者に診断時から実施」、
「退院後も継続」などの原則を掲げ、
全国のがん拠点病院に緩和ケアに対する
正しい理解を広めるためのリーフレットを
配布することにしています。

緩和ケアの実際

cont30-7

がんの診断と共に始められる緩和ケアですが、
具体的にはどんなことをするのでしょう?

疼痛管理(痛みの緩和)や保清ケア、
褥瘡(床ずれ)の予防、栄養管理、
腹水や胸水のコントロールなどがあります。

また、告知時の精神的なケアや
告知や予後説明のタイミングの見極め、
治療方針の選択、
患者の意思決定の支援なども緩和ケアに含まれます。

緩和ケアの基本である痛みの緩和には、
一般的な痛み止めの他に
モルヒネなどの麻薬が用いられます。

麻薬を用いた治療を行うと、
「末期がんで手のうちようがないのか」
と思われがちですが、強い痛みが出た場合は、
初期のがんでも麻薬を用いることがあります。

尊厳死と安楽死の違いは?

130619-13

緩和ケアには、
延命処置の拒否などの選択権も含まれます。

延命処置を拒否するというと、
尊厳死や安楽死という言葉が思い浮かびますよね。

尊厳死と安楽死の違いって何でしょう?

簡単に言うと、尊厳死は回復する見込みがない場合、
自分の意志で延命所為を拒否することで、
安楽死は肉体的・精神的苦痛から患者を解放するために
薬物投与などで死を早めることを言います。

つまり尊厳死は自分の意志、
安楽死は家族など第三者の意志によるもの
ということになります。

日本では、尊厳死に関する法律が存在していませんので、
患者を尊厳死または安楽死させた医師は
罪に問われる可能性があります。

しかし、尊厳死を望む人は多く、
世界でも尊厳死を認めている国もあることから、
尊厳死に関する法律を整備する動きが出てきています。

尊厳死には反対意見も多いため、
今後日本で尊厳死が認められるかどうかはまだ不明ですが
緩和ケアも含め尊厳死がどうなっていくのか
注目を集めています。





タグ



2014年7月4日 | カテゴリー:病気 病院・医師

あわせて読みたい関連記事