脳を溶かす恐ろしいアメーバ「フォーラーネグレリア」について知りましょう。
脳を溶かすアメーバで9歳の少女が死亡
アメリカのカンザス州で、
9歳の少女が脳を溶かすアメーバ「フォーラーネグレリア」
に感染して死亡していたことがわかりました。
この少女は、発症前の数週間は湖で
水上スキーや水泳を楽しんでいたということです。
このフォーラーネグレリアの症例は、
アメリカで多く報告されていますが、
それでも2001年から2010年の間に
アメリカでは32例しか報告されていません。
2013年には3件の感染例が報告されていて、
ルイジアナ州では12歳の少年が、
フロリダ州では4歳の少年がこのフォーラーネグレリアの
犠牲になっています。
アーカンソー州で感染した12歳の少女は、
奇跡的に一命を取り留めました。
このフォーラーネグレリアに感染し、
命が助かったのは過去50年間で2例しかなく、
この12歳の少女が3例目とのことです。
致死率95%のフォーラーネグレリアとは?
フォーラーネグレリアは、アメーバの一種です。
このフォーラーネグレリアは
1965年にオーストラリアで初めて報告されて以降、
50年間で約130件の感染例がありますが、
命が助かったのはわずか3例のみで、
致死率は95%という恐ろしい感染症です。
フォーラーネグレリアは、河川や湖、
温泉などの淡水に生息していて、
特に25~35℃の温かい水を好むという特徴があります。
フォーラーネグレリアが含まれた淡水が鼻から入ると、
フォーラーネグレリアは鼻から嗅神経に進入し、
嗅神経を通って脳内へ移動します。
脳に到達すると、
組織融解酵素という液体を出して脳を溶かし、
それを栄養として増殖していきます。
そして、原発性アメーバ脳髄膜炎を発症し死に至ります。
死亡した感染者の脳は、
形が残っていないほど溶けていることがわかっています。
フォーラーネグレリアの潜伏期間は4~7日で、
その後嗅覚認知の変化が起こり、
嘔気や嘔吐、発熱、頭痛などの症状が現れ、
昏睡状態になって命を落としますが、
発症から死亡までわずか1週間から10日ほどしかなく、
症状は急速に悪化していきます。
フォーラーネグレリアの予防法は?
フォーラーネグレリアの感染例が
多く報告されているのはアメリカですが、
実は日本にもフォーラーネグレリアが
生息していることがわかっています。
つまり、フォーラーネグレリアは
日本でも感染する可能性があるということです。
1996年には佐賀県の女性が、
フォーラーネグレリアが原因で死亡しています。
この女性はアメリカへの渡航歴はなく、
感染経路は不明なままです。
フォーラーネグレリアは感染力はとても弱く、
フォーラーネグレリアが生息する水に
顔をつけても感染する確率は非常に低いのですが、
一度感染すると致死率95%ですので、
感染を予防しなければいけません。
私たちができる予防法は、
川や湖などの淡水や循環式の温泉には、
極力顔をつけないようにすることです。
また、アメリカのカンザス州当局は、
淡水で泳ぐ時にはノーズクリップを使用することや
浅い水底の堆積物を巻き上げないようにと
注意を呼びかけています。