一時的な記憶喪失?記憶がすっぽりと抜け落ちる「一過性健忘症」を知りましょう。
1日だけの記憶喪失?
「今まで何をしていたのか覚えていない」
などの記憶喪失の症状は、
ドラマなどで見ることがありますね。
でも、実際にはドラマのような記憶喪失になることは
めったにありません。
ただ、1日限定の記憶喪失になることはあるんです。
夕方になって、
「あれ?今日1日何をしていたんだろう?全然思い出せない」
という状態です。
このような症状は一過性健忘症と診断されます。
一過性健忘症は、1日限定の記憶喪失で、
1~8時間(多くの場合は4~5時間)だけ
記憶がすっぽりと抜け落ちてしまった状態です。
その前の記憶ははっきりしているし、
記憶がないと気づいた今も、
特に身体的な異常はないのに、
ひと時だけの記憶がないのです。
この一過性健忘症の特徴は、
記憶がない間は学習能力が欠如しているので、
何度も同じ質問を繰り返すという特徴があります。
また、記憶がすっぽり抜け落ちたとしても、
明らかな脳の異常は認められず、
健忘以外の高次脳機能障害はなく、
手足のまひのような神経学的異常も見られません。
また、てんかんの兆候も見られないという特徴があります。
一過性健忘症の原因は?
数時間だけ記憶が抜け落ちる一過性健忘症は、
まだ原因が解明されていません。
なぜなら、脳梗塞や脳出血のような
明らかな病変が発見されるわけではありませんし、
一過性健忘症の発作が治まった後は、
また普通に日常生活を送ることができるからです。
ただ、脳の中の海馬に障害が起こっている可能性があります。
海馬は記憶をつかさどっていますが、
感情中枢扁桃体からグルタミン酸が放出されることで、
海馬の働きに一時的に障害が出て、
記憶が抜け落ちるのではないかという説があります。
または海馬や大脳辺縁系に一時的な
血流障害が起こっているのではないかと推測されています。
そして、海馬に障害が起こるきっかけは、
ストレスや疲れ、興奮状態、痛みなどがあります。
でも、安静状態の時も起こることがありますので、
一過性健忘症はまだまだ謎が多い病気なのです。
発作が終わっても念のために検査を
一過性健忘症は、数時間の記憶が抜け落ちるだけで、
そのほかは特に異常が見られません。
発作が終わり、記憶が戻れば、
数時間の記憶はないものの、
またいつも通りの日常生活を送ることができます。
ただ、発作が終わって特に異常が見られなくても
念のために病院を受診しましょう。
脳神経外科や神経内科が良いですが、
総合内科でも構いません。
病院を受診して、本当に一過性健忘症なのか、
それとも脳に異常が起こったのかを検査するんです。
もし、一過性健忘症であると診断されれば、
それほど心配する必要はありません。
一過性健忘症の再発率は10~20%程度されていますので、
再発するリスクは非常に少ないですし、
脳に異常は起こっていないのですから、
いつも通りの生活を送りましょう。