大昔から存在した糖尿病。古代ローマ人も平安貴族も悩んでいた。
大昔から存在した病気、糖尿病
世界の糖尿病人口は、3億人と言われています。
その中で、700万人が日本における
糖尿病患者だと言われています。
糖尿病は、糖分の摂取が過多に陥って
処理が間に合わなくなり、
腎臓の機能が破壊されて起こる病気です。
特に、飽食で、運動不足の人間が多い先進国において
患者が多い事でも知られています。
古代ローマ人も平安貴族も悩んでいた糖尿病
しかし、糖尿病自体は、
実は大昔から存在が知られた病気でした。
今から2000年前のローマの書物にはこう書かれています。
「この病では、尿に手や足などが溶けだし、
腎臓と膀胱がやられ、水道のように尿が出る。
そして異常に喉がかわき、飲む以上に尿が出る。
水を飲まないとひからびて死に至り、
病気は長い時間を掛けて悪くなり、命は短命に終わる。」
表現に誇張はありますが、異常な喉のかわきや、
腎臓がやられる、病気が時間を掛けて進行する
というのは糖尿病の典型的症状です。
実は糖尿病だった権力者、藤原道長
贅沢を尽くした古代ローマ貴族に劣らず、贅沢をし、
結果、糖尿病になったのが、日本史にも出て来る
平安貴族の代表、藤原道長です。
道長は、三代の天皇に自分の娘を妃として送り込み
絶大な権力を振るいましたが、
30代になる頃には、糖尿病に侵されていました。
道長と言えば、有名な和歌
「この世をば わが世とぞ思うふ 望月の
欠けたる事も無しと思えば」という歌が有名です。
しかし、この頃の道長は、50代で糖尿病の末期で
目が見えなくなっていました。
喉のかわきや、急激な体力の低下、狭心症の発作にも
何度も苦しめられ、最後には背中に腫れモノが出来て
これが元で死亡しています。
贅沢だったけれどバランスを欠いた食事
貴族の食事は、白米中心の食事でしたが、
京都が内陸にある関係で新鮮な魚が、
あまり食卓に上らず干物が多かったようです。
また、「四足を避ける」という仏教の迷信があり、
良質な動物のたんぱく質もあまり摂取する機会が
ありませんでした。
また、新鮮な野菜が食卓に上る事も少なかったので、
糖尿病を予防する効果のある栄養素、タウリンや、
ビタミンE、食物繊維が、常に不足していました。
それに加えて、常に牛車に乗って移動し、
運動をしなかったので、多くの貴族が、
肥満から糖尿病に罹っていったのです。
粗食だが、栄養たっぷりだった武士や庶民の食事
一方で、貴族の使用人だった武士は、身分は低いですが
健康面では、よほど恵まれていました。
雑穀を混ぜたご飯によって、ビタミンEや食物繊維を取り
普段から武芸を兼ねた狩りを行い、
新鮮な肉のたんぱく質を摂り、
沿岸部に住んでいた武士達は、
豊富に取れる魚を食べていてタウリンも充分でした。
やがて貴族の政治は終わりを告げ、武士の時代が始まりますが
そこには生活習慣の差もあったのかも知れません。