蚊に刺されただけで・・。ウイルス感染が引き起こす蚊アレルギー(蚊刺過敏症(ぶんしかびんしょう))とは
蚊に刺されただけで強い皮膚症状が出たら
あっ、やられた・・・!気がつくと、
ぷっくりと盛り上がった丘状の腫れと強い痒み。
いつになっても蚊は人間のにっくき敵ですね。
通常、この後しばらく腫れと痒みが続き、
掻きすぎてばい菌が入り化膿でもさせない限り、
自然と症状が引いていきます。
しかし中には、何度も痒みや腫れがぶりかえしたり、
刺された時よりもひどく腫れたり、
痛みやただれを生じる場合も。
蚊が強い毒性を持っていた、もしくは蚊以外の虫に
刺されたという可能性もありますが、
蚊アレルギー(蚊刺過敏症)になり、
治療が必要な状態かもしれません。
「蚊アレルギー」と呼ばれる症状は、アレルギーではない?
蚊が血液を吸う時は、皮膚に針を刺し、
まず唾液腺物質を注入してきます。
これは、刺された痛みを感じないようにする麻酔作用や、
血液の凝固を防止する作用などを持ちます。
すると、刺された箇所では、この唾液腺物質や
蚊自体のたんぱく質にアレルギー反応を起こして、
腫れや痒みを生じます。
要するに、蚊に刺された時に起きる通常の反応こそが
アレルギー反応なのです。
対して「蚊アレルギー」と呼ばれる強い症状は、
実はアレルギー反応のことを指すのではありません。
EBウイルスという、ヘルペスウイルスの一種に
感染することによって引き起こされる症状なのです。
少々ややこしいのですが、この強い症状が
ウイルス感染によるものと判明する以前に、
腫れや痒みのアレルギー症状が
通常より目立つということで、
蚊アレルギーと命名されてしまったのです。
正式名称を「蚊刺過敏症」といいます。
蚊に刺されて起きる(通常の)アレルギー反応が、
感染症によって増幅すると考えればよいでしょうか。
蚊アレルギーを起こすEBウイルスとは
EBウイルスは、ありふれたウイルスで、
5歳までに5割、20歳では9割の人が感染していると
いわれています。
感染時に発熱やリンパ節の腫れなどの症状が出て、
2週間ほどで治癒することが多いのですが、
無症状で感染に気付かないまま抗体ができている
こともあります。
感染後、EBウイルスは体内のリンパ球の中に、
一生存在し続けます。
ひっそりと潜んでいて、悪さをすることはありません。
しかしごく稀に、病気などで身体が弱り、
抵抗力が低下した時に、
EBウイルスがリンパ球の中で
増殖してしまうことがあります。
このように、持続的に感染している状態を
「慢性活動性EBウイルス感染症」と呼び、
蚊アレルギーと密接な関係があるとされます。
蚊アレルギーの症状がひどい場合は病院へ
慢性活動性EBウイルス感染症は、
蚊アレルギーを引き起こすだけではなく、
血管障害や目の障害、
血球減少(白血球・赤血球・血小板の減少)による
多機能不全や意識障害などを起こし、
白血病につながることもある恐ろしい病気です。
蚊に刺された後、
水疱や血疱(血豆のような状態)を生じたり、
皮膚がただれて凹んできたり、
刺された場所の症状のみならず
蕁麻疹や発熱などの全身症状が見られるようなら、
この病気が疑われます。
放置せず、
きちんと医療機関での検査を受けてください。