早急な対応が迫られる「運転免許証所持者の高齢化」。認知症による事故も心配されます
高齢者による交通事故の多発問題
高齢化が進む日本で、
早急に取り組まなければならない問題の一つに、
運転免許証所持者の高齢化についての対応があります。
通常の老化による記憶力や判断力、
運動能力などの低下に加え、
認知症という大きなリスクがあり、
時にはそれが本人や家族が認識しないレベルであることも
考えられます。
これを見落とした上で免許証を所持し続ければ、
大事故に繋がる恐れもあるのです。
実際に、高速道路の反対側の入り口から乗り入れたり、
行き過ぎたからといって同じ道を戻ったりする逆走や、
アクセルとブレーキの踏み間違いなどによる
事故のニュースも数多く報じられ、
高齢者自身が事故を起こしたことを覚えていない、
認識していないという例もあります。
しかし、老人のみの世帯や独居老人が増えている中、
特に交通の便が悪い山間部や農村では、
高齢者自身が運転するよりほかに足がない場合も多く、
問題は更に深刻です。
75歳以上の免許更新は講習予備検査が必要
75歳以上のドライバーは、運転免許証の更新の際、
講習を受ける前に「講習予備検査」を受けることが
義務付けられています。
検査日現在の年月日・曜日・時間や、
描かれた絵を覚えて回答するなどの検査で、
つまりは認知機能検査です。
記憶力・判断力について
“低くなっている”“少し低くなっている”“心配ない”の
3段階に判定されますが、
この段階ではいずれの結果でも
更新手続をすることはできます。
しかし、この検査で認知機能低下と判定された人が、
特定の交通違反を起こした場合には
「臨時適性検査」を受けなければならず、
そこで認知症と診断されれば、運転免許は取り消しとなります。
「認知症疑い」高齢者が増加するという予想
この、2009年より導入された認知症による免許取消制度は
これまでに一定の成果を挙げてきましたが、
今年度より「講習予備検査(=認知機能検査)」の検査方法が
変更になったことで、警察も対応を急いでいます。
従来よりも“記憶力”に重点を置いた結果、
認知機能低下と判定される人が増えることが
予想されています。
そのため、次の段階の「臨時適性検査」で
確定診断を行う医師の数が不足しており、
早急な解決が求められているのです。
今や認知症の高齢者ドライバーは、
推計で30万人といわれています。
運転に不安を感じたら免許返上も視野に
視力や聴力も衰え、
とっさの判断力や動作のスピードが低下するなど、
誰しも加齢と共に運転に必要な機能を
少しずつ失っていくものです。
個人的事情は様々ですが、
自身の運転に不安を感じた時には
免許証の返上を決意できるよう、家族や周囲の人と相談をし
準備しておく必要があるのかもしれません。