30分の早歩きで糖尿病死亡率が半減!糖尿病と運動の知られざる事実とは
何と年間1万4千人も!糖尿病による死者数
今や、日本の国民病ともいうべき、糖尿病。
その患者数は、予備軍を含めると、2210万人いると推定されます。
どうして推定なのかと言えば、
2210万人の中の4割は、治療を受けた事がないからです。
この糖尿病には自覚症状がなく、
医者に糖尿病の指摘を受けても放置してしまう人も多いようです。
しかし、糖尿病を原因とする合併症で死亡する人は、
年間1万4千人(平成21年)も存在します。
糖尿病によって腎臓を壊し人工透析を始める人は、年間で1万五千人、
また糖尿病を原因として視覚障害を起こす人も年間3000人です。
これで見ると、たかが糖尿病と切り捨てられない人数ですよね。
早歩き30分で、2型糖尿病の死亡率半減
この糖尿病と言えば、インシュリン注射などの薬による治療が
一番イメージされますが、実は、運動もかなり効果的です。
厚生労働省の研究班が調査した結果によると、
毎日30分以上の早歩きに相当する運動をしている2型糖尿病の患者は、
ほとんど運動をしない患者と比較して、
死亡の危険性がほぼ半分だった、とする研究結果を発表しました。
この研究は、40~70歳の患者約1700名を8年間に渡って
追跡調査した結果をまとめたものです。
死亡率ばかりでなく、脳卒中発症のリスクも半減し、
しかも世代に関係なく、全てに同じ効果が見られたそうです。
糖尿病というと、とかく薬による治療が前面に出ますが、
運動の効用が調査によって裏付けられた形です。
研究班の曽根教授は、
「運動には、血糖値やコレステロール以外にも
ストレス軽減の効果もある、幅広い患者支援が大事」
としており、薬による治療のみに偏らない、
糖尿病患者の意欲向上を支援する体制の必要性を指摘しています。
糖尿病への周囲の協力が必要
糖尿病患者の身体的、経済的、感情的な負担は
家族全体の協力で支えられているというデータもあります。
製薬会社のノボノルディスク(本社デンマーク)の調査によると、
17カ国、1万5千人の患者と、その家族に聞いた所、
「家族のうち、3人に2人は糖尿病による重い合併症を危ぶみ、
インスリン治療を受けている患者が夜中に低血糖を起こす事を心配している」
という回答を寄せているそうです。
また、調査結果によると、
糖尿病による経済的な負担や患者に対する社会の無理解も現れています。
糖尿病患者を抱える家族の34%が糖尿病で家計への負担があると答え、
20%は患者が糖尿病を理由に社会差別を受けていると回答。
これを見ると、糖尿病は決して患者個人と医療機関で終わる問題ではなく、
家族、そして社会にも関わる広範囲な問題ですね。
実際に家族が、糖尿病患者へのサポートに意欲的である場合の方が、
患者当人の病気への取り組みも熱心です。
しかし、いかに熱心にサポートしても、治療費の問題や、
社会の偏見が負担になると病気に関してマイナスの影響も出てしまいます。
すでに国民病であるからこそ、一層の支援と理解を
上記の統計でも分かるように、
糖尿病患者は予備軍も含めると2000万人を超える国民病です。
これは、日本人の6人に一人は糖尿病患者もしくは予備軍という計算になり、
家族に一人はいてもおかしくありません。
死に至る深刻な合併症をもたらす病気でありながら、
今なお、糖尿病を軽く考える風潮が大きいのも現状です。
糖尿病は、一度罹ると、ほぼ治らない病気です。
ですから継続して治療を続けて悪化させない事が重要です。
しかし、終わりの無い治療は、患者への負担になり、
大きなストレスも発生させてしまいます。
この患者のストレスを軽減し、
家族のサポートが出来やすいような枠組みを作っていくには、
行政も社会も一丸になった議論が必要ですね。