激痛に襲われる「痛風」と、ビールの関係について知りましょう。
高尿酸血症と痛風の関係
「風が吹くだけでも痛い」と言われるほどの
激痛に襲われる痛風。
痛風が起こるメカニズムをご存知でしょうか?
痛風の根本的な原因は高尿酸血症です。
高尿酸血症とは、
血液中の尿酸の濃度が高い状態のことで、
血液中の尿酸の濃度が高くなりすぎると、
血液中にとけ切れなくなった
過剰な尿酸が結晶化します。
結晶化した尿酸は、関節内に付着していきます。
そして、関節内の結晶化した尿酸が蓄積し、
剥がれ落ちたとき、それを掃除するための
マクロファージ(白血球の一種)が働くため、
関節の炎症が起こり激痛が生じます。
この関節の炎症が、「痛風発作」なんです。
痛風発作が起こると、「歩くこともできない」、
「靴下を履くことすらできない」
ほどの痛みが出ますので、
日頃から尿酸値をコントロールしていく
必要があります。
痛風の人はビールはNG?
ビールは痛風の原因と言われていますが、
これは本当なのでしょうか?
痛風の原因である尿酸は、プリン体が原料です。
ビールにはプリン体が多く含まれているため、
「痛風の原因=ビール」と言われているんですね。
でも、実はビールに含まれている
プリン体の量ってそれほど多くないんです。
ビール100mlあたりプリン体は
4.35~6.86mg含まれています。
ほかのアルコール類だと、
日本酒で1.18mg、ウイスキーで0.12mg、
ワインで0.39mgですので、
アルコールの中ではビールに含まれるプリン体は
多いんですが、食品全体と比べてみると、
プリン体の量が多くないことがわかると思います。
鶏レバーは100gあたり312.2mg、大正エビだと273.2mg、
カツオは211.4mgとなっています。
これを見ると、思ったよりも
ビールのプリン体含有量は少ないと思いませんか?
また、食品から作られる尿酸は全体の20%しかなく、
残りの80%の尿酸はもともと体内にある
プリン体から作られています。
確かに、ビールにもプリン体が含まれていますので、
「ビール=痛風の原因」と言うこともできますが、
ビールだけが痛風の原因ではなく、
ビールと一緒に食べるおつまみ類のほうが
プリン体が多いですし、
そのほかの生活習慣も大きくかかわってきますので、
ビールだけが痛風の原因ではないんです。
運動後のビールはNG
ビールが痛風の直接的な原因ではなくても、
運動後のビールは絶対にNGです。
運動のあとのビールって、美味しく感じますよね。
でも、運動後のビールは
痛風発作を引き起こしかねません。
運動をすると、
体内の水分が汗となって排泄されますので、
体内の水分量は減少しています。
体内の水分量は減少すれば、血液量は減りますよね。
そうすると、血液内に溶け込める尿酸量も減りますので
尿酸が結晶化しやすくなります。
尿酸が結晶化すれば、関節内に沈着して、
痛風発作を引き起こしますことになります。
そのような状態の中で、ビールを飲むと、
さらに体内の水分量が減り、
痛風発作のリスクが高まります。
ビールには利尿作用があり、
ビール1リットルを飲むと、
1.5リットルの尿が作られると言われていますので、
ビールで水分補給したつもりが、
逆に脱水を進行させてしまうのです。
痛風の人は、運動するときはこまめに水分補給をし、
ビールで水分補給をするのは止めておきましょう。