痛みの無い「隠れ骨折」の原因は「骨粗しょう症」。60代から増加します。
60代からは要注意「隠れ骨折」の恐怖
骨折と言えば、少し骨にひびが入った程度でも、
我慢できない程の痛みに見舞われます。
ですから、隠れ骨折と聞くと、
誰もが意外に思ってしまうのではないでしょうか?
しかし転倒したり、
体を強くぶつけた事がないのにも関わらず、
骨が折れていたという「隠れ骨折」が急増している
というのです。
その原因は、骨粗しょう症です。
老化によって骨の密度が下がってスカスカになり、
無痛にも関わらず骨折が起きるのです。
活動的な高齢者でも安心はできない
60歳代のある女性は、普段から活動的な生活を
送っていましたが、偶々、行った病院で「隠れ骨折」と
診断されました。
骨密度を検査した結果、密度は通常の40%という
スカスカな状態で背骨の一部が圧迫によって
潰れていたのです。
女性には、自分が骨折しているという自覚症状が
全くありませんでした。
骨が折れるのに、どうして痛くないのか?
しかし、この隠れ骨折、厄介な事に患者3人に2人は、
骨が折れているにも関わらず、無痛だと言います。
どうして、そのような事が起きてしまうのか?というと、
骨折が長い時間を掛けて起きるからです。
スカスカになった骨が、時間を掛けて重みに耐えられずに
ゆっくりと潰れてしまうので、痛みがないのです。
寝たきりに直結する恐怖、腰の骨折
骨粗しょう症は、
女性の場合には60代の後半から増加してきます。
折れやすいのは、背骨、手首、腕の付け根、股関節があります。
股関節の骨折は、70代後半に増えてきますが、
腰の骨折は、60代の後半から起きます。
腰骨が骨粗しょう症によって、骨折してしまうと、
次に股関節を折る可能性が、3~5倍に急増します。
それに腰骨が折れる事で、体が前屈みになってしまい、
内臓に負担が掛かってしまうのです。
逆流性の食道炎を患った高齢者が診療を受けて、
そこで隠れ骨折が分かった事例もあります。
骨粗しょう症の診断基準が変更される
このような事を受けて、今年の1月からは、
骨粗しょう症の診断基準が変更されました。
従来の基準では、骨折の事実に加えて、骨密度が一定値を
下回った場合に、骨粗しょう症と診断されました。
しかし、新基準では骨折の段階で、骨粗しょう症と診断、
カルシウムとビタミンDを投与し、骨を強くする薬を使い
同時に適度の運動を勧めています。
国内に1280万人の骨粗鬆症患者
骨粗しょう症の患者は、閉経後の女性を中心に推定1280万人。
その中で治療を受けているのは200万人でしかありません。
隠れ骨折が腰で起きると、背が縮む、
急に背中が丸くなるというような外見上の変化もおきます。
年だからで片付けず、
思い当たる節がある場合には病院を受診しましょう。