動物の体内で人間の臓器を作る?進化する臓器移植とiPS細胞の現状とは
Facebookで臓器提供登録者数アップ?
2012年9月5日より、
ソーシャルネットワークシステムの最大手の「Facebook」で
臓器提供の意思表示ができるようになっています。
Facebookで臓器提供の意思表示をしても、
今のところ法的な有効性はないとのことですが、
多くの人が臓器提供について考え、
意思表示をするきっかけとなることを期待されています。
アメリカでは日本に先駆けて、
2012年5月1日よりFacebookで臓器提供の意思表示が
できるようになっていますが、
このFacebookでの意思表示ができるようになってから、
臓器提供意思登録者数が1日で21倍に増えたと
2013年6月のアメリカ移植学会誌に発表されました。
アメリカでは、日本と違いオンライン上で
臓器提供の意思を登録することが可能ですので、
日本とは一概に比較することはできませんが、
日本でもFacebookがきっかけとなり、
免許証や意思表示カードなど法的に有効な臓器提供の
意思を表示する人が増えることが期待されています。
動物の体内で人の臓器を作る?
臓器移植法が平成9年に施行された後も、
日本での臓器移植はあまり行われていません。
平成22年に臓器移植法が改正されて以降は、
少しずつ移植件数が増えていますが、
それでも平成24年は45件でした。
Facebookなどで臓器提供意思表示などが進んでも、
家族の同意が得られない、
医療現場の準備が不十分などの理由で、
日本は臓器移植後進国となっています。
それでも、臓器移植を待つ患者さんは多く、
海外に行って臓器移植をする人も後を絶ちません。
このような状況の中で、6月18日に
「動物を利用して人間の移植用臓器を作るための
基礎研究を認める方針」を国が示しました。
これは、iPS細胞の技術を応用したものです。
一例として、豚の受精卵に人間のiPS細胞を入れ、
豚の子宮に戻し、そのまま出産させると、
人間の臓器を持つ豚の赤ちゃんが生まれる可能性が
あるとのことです。
人間としての尊厳や倫理面での課題は残りますが、
臓器移植を待つ人にとっては、
明るいニュースとなることは間違いありません。
結局、iPS細胞って何?
2012年にiPS細胞を作り出す技術で
京都大学の山中教授がノーベル賞を受賞し、
一躍脚光を浴びたiPS細胞ですが、
結局iPS細胞って何なのでしょう?
iPS細胞は、正式名称を人工多能性肝細胞と言います。
iPS細胞を簡単に説明すると、
「様々な細胞になる可能性がある細胞の素」のことです。
iPS細胞は、色々な細胞になり得るものですので、
豚の受精卵に入れても、
人間の臓器を作り出す可能性があるのです。
iPS細胞の技術がさらに発達すれば、
上記のニュースのとおり、
人間の臓器を作り出すこともできますし、
現在では臓器移植しか治療手段がない病気でも、
臓器移植をせずに治療することも
可能になるかもしれません。
将来、iPS細胞の研究が進めば、医学が急激に進化し
たくさんの人がiPS細胞の恩恵を受け、健康になり、
長生きできるかもしれませんね。