いびきは体の危険信号!いびきの弊害と睡眠時無呼吸症候群(SAS) の危険性を知る
いびきは体が発する危険信号
わりと多くの人が気にしたり悩んでいる「いびき」。
原因や音の大きさは人それぞれで、
疲れているとき、お酒を飲んだ後だけいびきをかく人もいます。
本人は自覚がないので問題があるとは思っていないようですが、
実は、様々な危険が潜んでいることがあるのです。
では、どうして人はいびきをかくのでしょうか?
いびきのメカニズム
いびき自体は、呼吸によって空気が通る際に、
上気道(喉や鼻)の中の粘膜が振動して音が鳴るのですが、
起きている時には鳴らず、
寝ているときにしか起こりません。
これは、睡眠時に上気道が狭くなるから起こると言えます。
上気道は筋肉で支えられた狭い器官なのですが、
睡眠時に全身の筋肉が緩むと同様に、上気道の筋肉も緩んで狭くなり、
起きているときと同じ空気の量でも、空気抵抗が大きくなって、
粘膜の振動をおこし、音が発せられるのです。
さらに、飲酒、肥満、過労、ストレス、病気、薬、老化
などによって、より狭くなり、ますます音量が高くなっていきます。
いびきと睡眠時無呼吸症候群(SAS)との違い
睡眠時無呼吸症候群(SAS)、昨今よく聞かれますが、
いびきと何が違うのでしょうか?
いびきは基本的に間断なくおこりますが、
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の場合、
息を吸うときに気道の壁が吸い寄せられて閉じてしまい、
吸えなくなるため、10秒程度の呼吸停止が頻繁に起こります。
窒息してしまうのでは?と思われがちですが、
無呼吸が続くと脳が短時間目覚めて(覚醒反応)、
上気道を広げる指示を筋肉に送り
息を吸えるようになるので、普通は大丈夫です。
しかし、この身を守るための覚醒反応が一晩に数百回もおこり、
睡眠自体が途切れ途切れになって、質の悪いものとなり、
目が覚めても眠気がとれず、
集中力などがなくなってしまうのです。
また、無呼吸のため酸欠状態が続くことで
心臓や血管に負担がかかり、高血圧や心筋梗塞、
脳卒中などの合併症にかかりやすくなってしまいます。
いびきの原因
いびきをかきやすい人には、いくつかの特徴があります
1.肥満:肥満になると、首周りや上気道の内部にも脂肪がつき、上気道が狭くなる
2.口呼吸:いびきをかく人のほとんどが口呼吸、もしくは口を開けて寝ていると言われている
3.仰向けで寝る:仰向けで寝ると、舌がのどに落ち込みやすくなったり、口の奥の粘膜の軟らかい部分が重力でさがり、上気道を狭くする
4.寝姿:胸の上に手をおいて寝ると、胸が圧迫されて、呼吸が浅くなる。そのため酸素を取り入れようと、空気を吸う力が強くなり、振動が起きやすくなる
5.鼻の疾患:鼻に疾患があると、口呼吸になり、それが習慣化する
6.過労やストレス:過労やストレスがあると、睡眠時に多くの酸素を取り込もうとするため、口呼吸になったり、空気を吸う力が強くなり、粘膜の振動を起こしやすい
7.飲酒:リラックス効果のため、上気道の筋肉も更に緩み、上気道を狭くする
8.薬(睡眠薬・精神安定剤):薬を飲むことによって、上気道の筋肉が緩み、狭くなる
9.病気:何かの病気により、いびきを突然かくようになる
10.加齢:老化により、上気道の筋肉が緩み、空気の通り道が狭くなる
などなど、あなたは思い当たることはありますか?
いびきの弊害
いびきによっておこる問題点を挙げてみましょう。
・騒音
→ ひとり暮らしなら良いですが、家族や同居人がいる場合、他人の睡眠を邪魔している可能性が高い。また、本人はわからないので、指摘されることで、気にしすぎて旅行など行けなくなってしまう。
・酸素不足
→ いびきをかいている時には、上気道が狭くなっているので、空気の循環が悪くなり、取り込まれる酸素が不足している場合もある。脳への酸素供給も減るので、集中力や記憶力が低下して、脳疾患へつながることもある。また、血中酸素も減るため、糖尿病や高血圧、さらには心臓疾患へつながってしまう可能性もある。
・睡眠不足
→ いびきをかいている状態とは、実は熟睡していることは少ないと考えられている。そのため、目が覚めた時に、疲労感が残り、日中に眠気が襲ってくることもある。特に睡眠時無呼吸症候群(SAS)の場合、覚醒反応がなんども起こるため、睡眠はとぎれとぎれになり、いくら長く寝ても睡眠不足が解消されない。
いびきの改善法
いびきによりおこる様々な弊害を回避するには
どうしたらよいのでしょうか?
答えは上記の原因を取り除くことにつきます。
・肥満解消(ダイエット)
・横向きで寝る
・口呼吸を直して、鼻呼吸を習慣化する
・飲酒やストレス、疲労など、生活習慣や環境を見直す
・まくらなどで、上気道を圧迫している場合は、自分に合ったものに取り替える
これらを行うことで、かなりの部分が改善されるはずですが、
それでも治らない場合や
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがあるときは、
まずは耳鼻咽喉科を受診して、検査を受けてみることも大切です。