塩分を控えすぎてもダメ?塩分と高血圧の関係について知りましょう。
塩分を取りすぎると高血圧なるメカニズムは?
「塩分の取りすぎると高血圧になる」、
これは皆さんご存知ですよね。
日本人は世界的に見ても高血圧が多いのは、
和食は塩分量が多く、
日本人の塩分摂取量が多いためと言われています。
でも、なぜ塩分を取りすぎると
高血圧になるのでしょう?
塩分の取りすぎで高血圧になる理由は、
ずばりナトリウムです。
塩分にはナトリウムというイオンが
含まれていますので、塩分を取ると、
体内のナトリウム濃度が高くなりますよね。
でも、体の機能にはナトリウム濃度を
一定に保とうとする作用がありますので、
体内のナトリウムがたくさん入ってくれば、
体の水分を蓄えようとするんです。
塩辛いものを食べると、喉が渇いて、
水をたくさん飲みますよね。
これは、体内のナトリウム濃度が高くなったために、
体の水分量を増やして、
ナトリウム濃度を下げようとしているんです。
体内のナトリウムが増え、水分量が多くなれば、
自然と血液量も増えますよね。
また、浸透圧の関係でもナトリウムが増えると、
血液量が増える仕組みになっています。
血液量が増えれば、
血管壁への圧力が大きくなりますので、
血圧が上がるというわけです。
塩分と高血圧は関係ない?
近年の研究で、
全ての高血圧が塩分過多と関わっているわけではない
ことがわかってきています。
確かに、
塩分過多が原因で高血圧になる人もいるのですが、
塩分を多くとっても高血圧にならない人もいるんです。
日本人の約50%は、
塩分をとっても高血圧にならないと言われています。
そして、塩分とは無関係に高血圧になる人もいます。
塩分とは無関係で高血圧になる原因は、
ストレスや肥満、動脈硬化、
カルシウムやカリウムなどのミネラル分の不足
などが挙げられますが、
塩分と無関係の高血圧の根本的な原因は、
まだ解明されていない部分が多いんです。
塩分過多が原因での高血圧を
食塩感受性高血圧と言いますが、
塩分とは関係しない高血圧を食塩非感受性高血圧と言います。
塩分の控えすぎもダメ?
塩分とは無関係な高血圧もありますが、
日本人の約半数は塩分摂取量と血圧が関係していますので、
塩分はできるだけ控えたいものですよね。
しょうゆや味噌なども
「減塩」と書いてあるものを選び、
日ごろの食事でも塩分控えめを心がけている人も
多いのではないでしょうか?
厚生労働省が定める1日の塩分摂取量の目標値は、
男性で10g未満、女性は8g未満となっています。
また、WHO(世界保健機関)は
1日5g未満にするように推奨しています。
でも、世界17カ国10万人以上を対象とした
国際的な解析によると、
1日の食塩摂取量が7.6~15.2gだと
心臓病や脳卒中になる危険性が
最も低いことが判明したんです。
日本人の平均塩分摂取量は11~12gですので、
この解析結果に基づくと、
減塩の必要は全くないということになりますよね。
さらに減塩しすぎ、つまり塩分を控えすぎると、
逆に心臓病や脳卒中の危険性が
高まることもわかっています。
7.6~15.2gのグループの心臓病リスクを1とした場合、
15.2~17.8gのグループは1.14倍、
17.8g以上のグループだと1.21倍になりますが、
7.6g未満のグループだとリスクは
1.27倍という結果が出ています。
食塩の控えすぎは、
取りすぎよりも健康に悪いということです。
なぜ、塩分の控えすぎると心臓病や脳卒中のリスクを
高めるのかは明らかになっていませんが、
ナトリウムの控えすぎによる
カリウム濃度の上昇などが影響しているのではないか
と考えられています。
この国際解析の結果については、
まだまだ今後の補足研究が必要ですが、
塩分を控えすぎるのもダメ、取りすぎるのダメ、
適量もしくは少し控えめが良いのかもしれません。